屋上のお昼
メロンパン、カレーパン、焼きそばパン、おにぎりたくさん、牛乳1リットル、その他諸々・・・。彼の胃袋はかなりの大きさらしい。
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「葵さんそれだけでいいんですか?」
「これで充分だよ・・・。」
アレンはもっと食べた方がいいですよ?と言った(たぶん)。いかんせん口に食べ物がいっぱい詰まっていて何を言っているかよく分からない。
アレンはとりあえず今口にあるものを飲み込んだ。牛乳に押し流されるように喉を通ったパンたちはゴクンと大きな音をたてた。
「で、辻井に放課後呼び出されていると。」
「うん。」
「厄介ですね、あの人。」
「ほんとにね。」
普段から遅刻常習犯な私はこうして定期的に辻井に呼び出される。呼び出されては雑用などを押し付けたり、嫌みを散々言われるのだ。しかも私が無表情で返事が適当なものだから余計腹がたつんだろう。以前、髪を引っ張られた。
「本当に憂鬱。」
私は深くため息をつく。アレンは食べるのを止めた。
「ねえ、葵さん。世間を上手く渡る方法知ってます?」
いきなり何を言うかと思ったら。そんな方法あったら私苦労してない。
「あるわけないじゃん。」
「ありますよ。」
「・・・どうするの?」
「笑えばいいんです。」
「・・・・・は?」
本当に何を言ってるんだ。それが顔に出てたらしい。アレンはニコッと笑った。でも何故だろう。今までの笑顔とは違う。どこか冷たい、心を許してないような笑顔。額からペリペリ剥がせそうな皮。そんな笑顔だった。
「心を許せなくて笑えないなら、許さずに笑えばいい。そうすれば傷つかずに済む。」
それは悲しい顔だった。冷たい目、いつもより低いトーンの声。
―――この人
「アレンは・・・、いつもそうやって笑うの?」
アレンの周りだけ冷たい空気が満ちる。今はお昼の時間で、ここは屋上で。楽しくご飯を食べる。そんな空間なはずなのに。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「だって・・・・・。」
だって、そんなの・・・・
「悲しい、よ・・・。」
私の言葉は予鈴に消されたかもしれない。
その目は私の目よりもよっぽど冷たかった。
心を許せなくて笑わずに過ごしてきた私の目。
心を許さずとも貼り付けの笑顔で過ごしてきた彼の目。
彼は一体何者?
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全然話を作れなくて
前作をちょっといじりました(爆)
ごめんなさい(´`)
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