少年と笑顔



駅に着くとすぐに電車が来た。もうお昼前だから乗客はまばらで、吊られた広告に太陽の光が揺れていた。

学校の最寄り駅まで4駅。車内アナウンスは東国駅を告げる。着いた。駅を出たらロータリーを抜ける。学校までは桜並木を通る。5月の新緑は眩しいくらいに茂る、揺れる。

校門がうっすらと見え始めた時、いつもは生活指導の先生が立っている所に誰かが立っている。



「葵さん。」



私の姿を確認したアレンは微笑んだ。心臓がくすぐったい。


「本当に待ってたんだね。」

「葵さんなら来てくれると思ったんです。」


また、微笑む。授業中なのにわざわざサボらせてしまった。


「授業中なのにごめん。」

「僕がそうしたくてやったことです。」


さあ、行きましょう。と私の手を取って学校に入ろうとする。が、彼は立ち止まった。そして振り返って私を見た。


「・・・どうしたの?」

「今日お弁当いっしょに食べません?屋上で。」
「あ、えっと・・・」



私は言葉に詰まる。
正直、友達と呼べる人がいなかった私はここ数日アレンがしてくれることすべてに戸惑っている。嬉しい、でも少し怖かった。

俯いた顔を上げたら、アレンは心配そうな顔で私を見ていた。


「嫌・・・ですか?」

「ううん、違う。なんか・・・・・嬉しいけど。」

「はい。」

「こういうの慣れてないから・・・。どうしたらいいのか分かんないんだ。」


私はまた俯く。
嬉しい時、みんなどうやって相手に伝えるんだろう。今アレンといっしょにいれて楽しいってこと、どうしたらちゃんと伝わるんだろう。



「こういうのは慣れるのがいちばんです。」

「慣れる・・・・?」


アレンは頷いた。



銀灰色の瞳が揺れる。




――――――

どうしよう!!
ぐだくだすぎる(笑)

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