例えば誰かの何気ない一言が僕を例えようもなく傷付ける。
「わ、じいさんかと思った〜。」
「呪われてるらしいよ。」
まあ、慣れっこだけどね。
慣れたけど、それでもその小さなトゲトゲした言葉たちは僕の深い暗い所に少しずつ、少しずつ溜まっていく。
―世界はいつも灰色
「アレンの髪って綺麗だよね。」
「・・・・・はい?」
「いや、羨ましいなあって。ほら、サラサラしてる。いいなあ。」
ひかりがいきなりそう言うもんだから素っ頓狂な声を出してしまった。そんなこと初めて言われた。
「若白髪ですよ。」
「え!?白髪なの?これ。」
「なんだと思ってたんですか。」
「んー、おしゃれ?」
だってこんなに綺麗なんだもん!そう言ってひかりはニッコリ笑うのだ。
「・・・・・」
「あれ、照れてる?」
「別にっ!見ないで下さい!」
「わあ〜!アレンが照れてる!いいもの見ちゃった。」
誰かの何気ない一言が僕を例えようもなく傷付けることがある。
それと同時に誰かの何気ない一言が僕を救ってくれる。深い暗い所に真っ白な光が指す。
「ひかり。」
スキップをしながら僕の数歩前をティムとじゃれながら歩くひかりを呼び止めれば、なあに?と振り返る。甘い匂いに酔う。
「ありがとう。」
「うぇ!?あ、どう・・・いたしまして?」
照れてはにかんだひかりをとても愛おしいと思った。
アズアンビジュアル
見えないけど、そこにある。
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