>> MERRY CHRISTMAS!

クリスマスパーティー兼先輩のお誕生日サプライズは、その後楽しい時間があっという間にすぎて午後9時過ぎにお開きになった。先輩が夜道だから送ると言ってくれた。そして、今二人で白い息をはきながら静かな道を歩いている。

「寒いね」
「雪降ったらいいですね」
「えー、そう?」
「雪降ったら寒さが和らぐ気がしません?」
「そんなことないよ」
「そうですかね」
「葵ちゃん、ちびっ子みたいだね」
「ええ!?」

私がマフラーにうずめていた顔を先輩に向けると、白い息がフワッと広がってすぐに消えた。先輩の笑った口から白い息がモワモワと浮かぶ。

「私、先輩にプレゼントあげてないですよね」
「え、ケーキくれたじゃん」
「あれはみんなで焼いたんです!私個人からとは言えないですよ」
「そっか、」
「先輩何か欲しい物ありますか?」
「言ったら葵ちゃん、僕にくれるの?」
「いつも先輩にはお世話になってますから!」

先輩に笑う、先輩も穏やかに笑って「じゃあね、」と少し考えた。


「葵ちゃん」


二人の前をクリスマス用にデコレートしたピザ屋のバイクがブウンと通り過ぎた。

「ふっ 冗談」
「で、ですよね!」

なんだ、びっくりした。私はマフラーに顔をうずめて「寒いですね」と早口に言った。本当は寒さなんてとっくに分からなくなっているのに。

「顔赤いけど照れてる?」
「寒いです!」

先輩がクスクス笑ってる。
もう、恥ずかしいな。最近先輩は私をからかって遊ぶけど、こっちは身が持ちそうにない。

「葵ちゃんストップ」
「電車もうすぐですよ?」
「ん、いいからいいから」

私が立ち止まって先輩を見上げると、先輩の冷たい指先が私の前髪をかすめた。声にならない驚きが白い息になって消える。先輩は手を離して、私を見て満足そうに笑って言った。


「メリークリスマス」


先輩の触れた前髪に手をやると、さっきまではついてなかったヘアピン(らしきもの)が付いていた。

「ヘアピン、ですか?」
「そう、葵ちゃんが新しいヘアゴム付けてくるの待ちきれなかったから、プレゼント」

いつかの、あの桃色のヘアゴムが頭をよぎった。そういえば、私あれからあんまり髪結んでないや。

「可愛い可愛い」
「うぁ、ありがとうございます」
「いえいえ」
「なんか逆に私が貰っちゃいましたし、結局私何もあげてないや」
「来年が楽しみです」


それってどういう・・・


「電車行っちゃったし、遠回りして帰ろうか」

先輩が私の手を引いて歩き始めた、寒い夜のことでした。



HAPPY MERRY CHRISTMAS
AND
HAPPY BIRTHDAY ALLEN!



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