>> 12月23日

「さっみぃさ〜」

橙色のマフラーに顔をうずめたラビ先輩が呟いた。ラビ先輩、鼻が真っ赤だ。私はそれがちょっと可愛くて、顔が緩んだ。ラビ先輩が「へ?何、」と不思議そうに私を見たが、「なんでもないです」とまた笑った。

「しっかし、遅いさアレンのヤツ」
「そうですねえ」

すぐ来るから一緒に帰ろう、と言って行ってしまった先輩を待つこと10分。先輩は一向に来ない。寒そうに体をさすったり、寒い寒いともらすラビ先輩はとうとう痺れを切らして私に話しかけた。

「な、葵ちゃんは明日明後日予定あるんさ?」
「え?明日明後日ですか?」
「そー。」

明日明後日と言えば、クリスマス。恋人達の聖也だ。最も恋人がいる前提のものだけども。

「予定ないですよ」
「うっそ、まじ?アレンに誘われてない?」
「・・・全く」

心底驚いたらしいラビ先輩は、少し呆れたようにも見えた。そしてぶつぶつと何かを言って「もう俺から言っちゃうさ!」と自分で納得して、私の方にものすごい勢いで振り返ってきた。

「25日にみんなでパーティーするんさ」
「パーティー?」
「そ、クリスマスも兼ねてな」
「・・・?」

クリスマスと何を兼ねてるのだろう。私は首をかしげる。

「何と兼ねてるんですか?」
「は?」
「クリスマスと、何を・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「アレンって本当バカさ」
「えっ!?」
「あのさ、25日はアレンの誕生日なんさ。だからクリスマスと兼ねてパーティーしようぜって話」
「ええっ!?」

先輩の誕生日!
しかも明後日!

「なんでアレンはそういうこと言わないんさ、勿体ない」
「知らなかった・・・」

先輩全然そんな素振りを見せなかった。言ってくれればいいのに、と一瞬ふてくされるも私はある重大なことに気付いた。

「た、大変!」
「へ、何が?」
「プレゼント!!」


先輩へのプレゼントを用意しなくては!




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