>> ふたりぼし

「うわあ、すごい」
河原に寝っ転がったまひるが星を見上げながら言った。空には満点の星だ。





―ふたりぼし



「どうさ?綺麗だろ」
「うん!すごいねラビ!」
自慢気に話すラビにまひるは興奮気味に答える。そして間髪入れずにアレンと神田が言った。

「ちょっとラビ!この場所は僕が見つけたんですよ!」
「テメーは車借りてきただけだろうが」
「え、そうなの?」
まひるが言うとラビはごまかすようにヘラヘラ笑った。

最初は、まひるの「綺麗な星空が見たい!」という言葉から始まった。四人は昔からの幼なじみでまひるだけが二つ年下だった。昔から兄妹みたいに育ったために、アレンが場所を探し、ラビが車を借りてきて、神田が運転するという奇跡の甘やかしコンビネーションで今日に至る。



「でも、ありがとう」
まひるが星空を眺めたまま目を細めて言った。
「嬉しいさ?」
「うん。ラビもアレンも神田も大好き!」
「だってよ、ユウ」
「あ?なんだよ」
「ちょ、照れてるんですか神田ぁ?」
「あ?なんだモヤシやんのかこら」
「望むところですよ」

両端に寝っ転がっていた二人がラビとまひるを挟んで立ち上がったかと思うと、火花がバチバチはじけそうな勢いで睨み合う。

「お前らここに来てまで喧嘩すんなって」
「お前を星にしてモヤシ座作ってやるよ」
「こっちこそ、神田を空に打ち上げてそば座にしてやりますよ」
「あははははっ」
「まひる笑い事じゃないさ!」
「そば座って地味!」
「笑いのツボそこ!?」

まひるが笑い転げながらふと空を見ると、一瞬の間に短く細い光が空を走って消えた。

「ああ!!」
「今度はなんさ」
「今!今見た?流れ星!」
「え、まじ?」
「ほんと、ほんと!」
「見間違いだろ」
「神田信じてよー」
「でもまひるの目って信用度低いですね」
「私の目は飾りだと?」
「飾りにもなってねえ」
「ひどい!!」
まひるが怒っている一方であとの三人は草の上を転げ回って笑った。まひるもだんだん馬鹿らしくなってきて結局は四人で転げ回った。


「また四人で来たいな」
静かになった空間にポツリと浮かばせるように呟いたまひるの言葉は、本当に嬉しそうだった。



********

「おい、まひる。駅までは乗せてくけど、そっからは自分で帰れよ」
運転席から言った神田の言葉に返事はなく、ラビが助手席から後ろを見るとアレンが「寝てますよ」と静かに言った。

「ガキ・・・」
神田がボソッともらす。
「まあまあ、駅に着いたら起こせばいいさ」

しかしラビの気楽さも虚しく、駅に着いて起こしてもまひるは起きなかった。



「・・・結局」


「いっつもこうなるんですよね」
アレンが背中のまひるに嫌みを込めて言った。返事なんて返ってくるはずがないけれど。

「いつもまひるが途中で寝て、僕がおぶって帰る」
「・・・・・」
「困った子ですね」
「・・・・・」

規則正しく聞こえてくる寝息にアレンはもしかしたら、ちょっと変になったのかもしれない。


「ねえまひる」


「君は来年も四人で行きたいって言ってましたけど」


「次は、」



「二人で行きましょうよ」


「う、・・・・ん」

突然返ってきた返事にアレンはびっくりして歩みを止めた。

「まひる、起きてた?」
「んー・・・」
「寝ぼけてる?」
「んー・・・」
「寝ぼけてますね」
「ちがーう・・・」
「はいはい」
アレンは少し安心してまた歩き始めた。


「私も・・・アレンと二人で行きたいよ・・・」


アレン好き



そう言って、ふふっと微笑んだのを最後に、またまひるの寝息が聞こえ始めた。


「なに言ってんだか」
アレンは笑った。



ふたりぼし


―――――――

「星空観察」というリクエストをいただき書いてみたんですが、愁夜さんどうでしょうか(´`)ドキドキ

流れ星は一回だけ見たことがあります。あの速さで願い事三回とか本当に鬼畜だと思いました(笑)

愁夜さん、リクエストありがとうございました!


20110718



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