>> あまのじゃく

1、2、3・・・・・


特殊な目を持つ彼がふいに数え始めた。何の数だなんて、愚問だ。



「来ますよ」

「おーけい」

背中を合わせて、お互いに構える。ミサイルの爆発音と同時に強く地面を蹴った。




―あまのじゃく




「あんまり触らないでよティム」
頬につくったかすり傷をティムキャンピーがからかうようにつつく。


「本当に鈍臭いですね」
「うぅ、うるさいなあ」

少し不器用な手つきでアレンは私の頬についていた血を拭った。私が「痛い」ともらすと、「我慢」とピシャリと言われてしまった。

「アレン、お母さんみたいさ」
すぐそばの木にもたれながら私達をニヤニヤと見ているラビにアレンが包帯を投げつけた。それあたしに今から巻く包帯なんじゃ・・・


「・・・・・」
「なんですか」
「別に」
「可愛くない」
「いたたた!!なに!?」
アレンをじっと見てたらいきなり両頬をつねられて、ちぎれんばかりに引っ張られた。

「そんな変な顔で見つめないでください」
「ちょ、真顔ォォォ!!」
「ああ、もとから変な顔でしたよね、すいません」
「だまらっしゃい!
ていうか仮にもあたし彼女なんだけど!!大丈夫?くらいの言葉はないんですか!!」
「まひるに破壊されたアクマ、大丈夫だったんですかね?フルボッコでしたけど」
「心配する方ちがう!!」


「もういい!」
「おい、まひるどこ行くんさ?」
「すぐ戻る!」
今はコイツを視界に入れたくない!そう思った私は立ち上がり早足でその場を去った。




しばらく歩くと人気のない静かな場所に来た。生い茂る木からは木漏れ日がさしている。さっきはカッとなったけど、だんだん冷静になってきて、私は一つため息をついた。

付き合う前はそれなりに優しかったんだけどな・・・。付き合い始めてから数週間しか経っていないのに既にアレンは私を好きではないんじゃないかと不安になる。

私も素直になれない。


こんなところにいてもしょうがないし、戻ろうかな。そう思ってきびを返した時、茂みの中から泣いているような声が聞こえた。私はゆっくりと近づき、茂みをそっとはらう。


そこにいたのは小さな男の子だった。


「僕、迷子?」
泣いてる男の子に尋ねれば、男の子は顔を上げ私に抱きついた。


何この子可愛い。
頭を撫でようとした瞬間に男の子は口を吊り上げるように笑った。

「エクソシスト、だよね」
「・・・ッ!?」

銃口を額につきつけられるより速く、後ろに飛び退きイノセンスを発動させて攻撃した。アクマは爆発し、生暖かい爆風に団服がはためいた。


「レベル2か・・・」
肩の力が抜け、対アクマ武器である拳銃をしまう。


「まだまだ」

背後から舐めるような声がしてゾッとした。まだ、アクマがいる。やばい、今から発動してたんじゃ間に合わない。でも体は動かない。


「死ね エクソシスト」


ドンっと音がして、かたく目をつむった。



あ、れ
死んでない


「何やってんですか」
「あ・・・」
アクマの返り血を頬につけたアレンが座り込んだ私を見下ろしていた。


なんで


「なんで・・・」
「・・・?」
私の声が聞こえなかったのか、私のそばにしゃがんで、私の顔を覗き込んだ。

「なんで、いつも助けてくれるの?」
「・・・それはまひるが大切だからですよ」
「仲間として?」
「それもありますけど」


アレンはばつが悪そうに頬を人差し指でかく。頬が少し赤い気がする。


「まひるのことが好きだからですよ」
「・・・うそだね」
「なんで人が恥ずかしいこと勇気出して言ってるのに全力否定するんですか」
「だって、


今まで全然、そういうこと言わなかったじゃん」

我慢してた涙がポタポタ落ちていった。下を向いているのにアレンが狼狽しているのが分かる。



突然ふわっとアレンの匂いがしたと思うと、アレンがぎゅーっと私を抱き締めていた。

「・・・言わなくても分かるって思っちゃうじゃないですか」
頭の上から聞こえる声はいつもより優しかった。
「まだ君といると若干緊張するんです、僕。
ですからあの・・・まひるのこと、いつも可愛いとか、好きとか、ちゃんと思ってます」


途切れ途切れの言葉に、私は別の涙が出てきて、力なく私の頭に顎を乗っけるアレンを抱きしめ返した。

「アレン大好き」
「・・・知ってる」




あまのじゃく

*おまけ*

「エクソシストォォ!!」
「空気読め」
「ギャアアアア」

もちろんフルボッコ☆


――――――――

美ナpakaさんから「エクソシストの女の子」というリクエストをいただき書いてみました!なっげ!って思った方、私もそう思います。

いつもはツンなアレンさんがデレた瞬間が大好きです。美ナpakaさん、こんなんで良かったらお持ち帰りください◎

リクエストありがとうございました!


20110812



prev//next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -