>> 21.エンドレスリピート

そわそわ、そわそわ。
待ち合わせまであと1時間。余裕をもってあと30分で家を出たい、それなのに!

「服が決まらない・・・!」

鏡の前に下着姿で立つ女、木村ひかり17歳。


前日に着る服を一度決めたのだが、当日になってボツになった(そういうことよくあるよね)。だってアイツがどんな服好きか分かんないもん!「ぎゃー!!」鏡の前で発狂(下着姿)。「ひかり!うるさいわよ!」怒鳴る母。「ごめんなさい」謝る私(下着姿)。

はっ!そもそも私なんで服でこんなに悩んでるんだ?アイツがどう思おうと勝手じゃね?私は着たい服を着るぜ!はっ!でもアイツに変って思われたらどうしよう!「ぎゃー!!」鏡の前で発(以下略)。

このあと出発時間の直前までこの葛藤を続けることになる。


*****


「遅い」
「ご、ごめ・・・げほっ」
「僕待ち合わせにあんなにガチで走ってくる女の子初めて見ました」

肩で息をする。だって遅刻したらぶっ飛ばされそうなんだもん。そりゃね、私も可愛く小走りで駆け寄りたかったさ。余裕があるならね。

「落ち着きました?」
「うん・・・」

呼吸が元に戻ってきて、アレンを見上げた。そういえば私服、初めて見るなあ。白いVネックに黒いジャケット、ラフだけどかっこいいな・・・なんてぼーっと考えてたら、アレンも私をまじまじと見ていた。な、なんか怖い。

「・・・変、かな?」
「うーん」

変なの!?ナイ!?

「馬子にも衣「うるさいよ」・・・冗談ですって」

睨みつけたらケタケタ笑われた。そして悪戯っぽい顔して一言。


「すっごく可愛いよ」


ボンっと私の中で爆発が起こった。葛藤の末、選び抜かれたうすい橙色のワンピースが揺れる。
何て返せばいいのか分からなくて、アレンを直視するのは恥ずかしくて、目が泳いだ。

「・・・・・。」
「ぶっ ふははは」

何故に笑う!?

「やっぱおもしろいですよね、ひかりって」


ほら行きますよ、と私の右手をとった。大きな手だなあ、ぼんやり彼の後ろ姿を見る。もしかしたら、さっきの‘可愛い’も今繋いだ手も、私をからかうためだけのものなのかもしれない。
でも、それでも嬉しくて、嬉しくて‘可愛い’が頭の中で何回も再生された。


実はもうすごく好きなのかもしれない。


エンドレスリピート
キラキラの世界

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