>> 18.赤と看病

「だるい」

そう言って彼はベッドに潜り込んでしまった。案内された部屋は多分アレンの自室だろう。CDを仮名順に並べる辺りから想像はできてたけど、やっぱりキレイだった。
「適当に座って」と言われたのはいいけど、何をどう適当に座ればいいのか全く分からない。ていうか本人寝てるし。帰った方が良かったかな。私は部屋の隅っこにちょこんと座り、背を向けて寝るアレンを見つめた。


ぐぎゅるるる


「雷?」

立ち上がって窓の外をうかがうが、雨なんて降っていなくて、月がくっきりと見えた。なんの音?

「ひかり・・・・」
「ん?なあに」
「・・・・・お腹すいた」


アレンのお腹の音だった。


*****

「どうぞ」

アレンにいきなり「なんか作れ」と言われ無難にお粥を作った。ふたを開けると湯気がモワモワと溢れてきた。アレンはムクリと起き上がりレンゲでお粥を少しすくって見つめた。もしかして熱のせいで焦点が合ってないのだろうか。さっきからやたら私をじーっと見るアレも熱があるからかな。私はぼーっと考えた。
アレンはゆっくりとそれを口に運びモゴモゴ噛んでゴクンと飲み込んだ。そして一言、


「薄い」
「病人は黙って薄味を食べなさい」

アレンは私を睨む。でも熱のせいで目力がないから怖くない。それが可愛くて笑みがこぼれた。
「生意気」と文句をたれながらアレンはお粥を全部食べてくれた。おかわりを要求されたけど、説得して諦めていただいた。まあ、食欲はあるから安心かな。でも顔は赤いからまだ熱はあるんだろうな。

「熱計った?」

布団をかぶってぼーっと天井を見つめるアレンに聞いた。

「計ってない」
「じゃあ計らなきゃ。体温計どこにある?」

アレンは天井を見つめたまま布団からモゾモゾ右手を出して机を指した。机を見ると、ペン立ての中にペンたちと同じように立ててあった。ペン≒体温計な感じらしい。私はそれを抜き取り「一回計りな」と言ってアレンに渡した。
次にどうしたらいいかを考え始めたら、やることは沢山思いついてしまう。薬は?病人は?親はいつ帰ってくるの?

「薬はどこにある?」
「たぶんない」

やることができた。

「じゃあ買ってくるから、熱計って待ってて」

私はマンションの近くのコンビニへ走った。時刻は7時過ぎ。やっぱり少し寒かった。


携帯、光る
あ、お母さん?私今日ちょっと遅くなるね。

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