2012 January13
Friday 03:42:28

オレは虎丸が嫌いだ。
キラキラ光る目は不気味で、子供らしさや純粋さってのをうんざりするほど押し付けてくる。気持ち悪い、キモチワルイ。あいつが腹の中に真っ黒いモンを抱えてるのをオレは知ってる。その目だってほんとは死んでるんだ。
今日も虎丸は豪炎寺を呼んだ。あいつの口から豪炎寺の名を聞かない日はない。豪炎寺豪炎寺豪炎寺。甲高い声は耳障りでイライラする。そんなオレの心境なんて知るはずもない豪炎寺は、優しい顔して応えるんだ。切れ長の目をそっと伏せて、その頬に睫毛の影を落として微笑む。豪炎寺は優しいヤツで、それでいて鈍いところもあるから虎丸の本性に気付かない。虎丸、と形の良い唇があいつの名を呼んだ。虎丸が笑う。豪炎寺も笑う。オレは、
その時、不意にこちらを見た虎丸と目があった。
ドキリとした。
見ていたことに気まずさを覚えて、目を逸らそうとするとニヤリ、と虎丸の口角がいやらしく上がった。
…鈍器か何かで頭を殴られたような衝撃が走った。頭に血がのぼっていく。
嫌いきらいあいつがキライ。
自分を偽って、猫を被って、好意を振り撒いて、振り撒いたぶんと同じだけの好意を欲しがるアイツが嫌い。
だってそんな醜いヤツはたった一人でいいんだ。


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