新入生歓迎会


side*黒子テツナ


入学して数日、新入生歓迎会というものが行われた。
と、いっても大した内容ではなく現生徒会長の挨拶、新入生代表の挨拶、校長の挨拶とただのありきたりな会だった。
話の最中何度欠伸を噛み殺したことか、まぁ、私はどこで寝てもバレる事はまずないんですけどね。
なかなか終わらない会に飽き飽きしていると、ざわざわと周りが騒がしくなる。
ふとステージのうえを見てみると変な格好の生徒数人。

「それでは、これから新入生歓迎に引き続き、部活紹介に入ります!!」

えっ?聞いてないですよ、そんなこと、



***


あれからまた、つまらない発表を見続けて、私の眠気はピークに達していた。
気がつけば誰もいない体育館のすみで、私は寝ていた。

まじですか‥‥。

誰も気がつかないと言うのは楽ですけど、こういう時困りますよね。
ひとりそうごちて、とぼとぼと体育館をあとにする。
ちらちらと見かける1年生はどうやら部活見学をしているようだった。

部活かぁ‥‥、
そういえば、全然考えてなかった。

特技がミスディレクション、特徴が影が薄いこと、将来の夢はとりあえず大学入学の私が入りたくなるような部活など、普通あるはずがなくて、あぁ、でも本を読むのが好きだから文学部あたりでいいかなと、ふらっと行き先を文学部の活動場所へと向けてみる。
ただ、ほんとになんとなくだった、廊下の角を誰かが走っていったのが見えて、その誰かが走っていったところへいくと一枚の写真が落ちていた。

拾って、見てみるとそこに写っていたのは、入学式の時私を見つけてくれた彼で、
バスケしている姿だろうか?その彼はとても楽しそうにそして無邪気に笑っている。
なんだか引き込まれてしまいそうな、そんな写真だった。

もう二度と見つけてもらえないであろうと(少し大袈裟だが)思っていた私は、こんな形であの彼を見ることができてとてもうれしくなった。
ええ、それはもう、とても純粋に。

そんなことを思いながら写真から顔を上げれば、目の前には美人さんが一人私を見ていた。

「写真、好きかい?」

美人さんがとても柔らかく微笑みなが言うもんだから私はついつい緊張してしまって、どもりながら、

「あ、あぁ、‥‥まぁ、すきです‥」

と答えた。ポーカーフェイスは崩しませんけど。
すると、私の答えがお気に召したのかさっきよりも一層嬉うに微笑んで、私の手を取る。
美人さんは、手も美人だった。

「私は、写真部なんだ!どうだい?これから一緒にこない?」
「え?」
「きっと、もっと君の気に入る写真があるよ!」
「え?いや、あの‥‥」
「それじゃ、Let’s go!」

強引とは、まさにこの事だった。
美人さんそういえば英語の発音めっちゃネイティブでした。
無理矢理連れてこられたところは、特別教室が多く並ぶ廊下の奥の教室。
誰も近づきそうにないところだった。

なんのプレートも貼っていない教室の前まで連れてこらて、美人さんは私に「ちょっと待ってて」と言うと、教室の中へ入って、いっつしまった。
私、放置ですか。

なにも、する事がないのでぼーっとしてると中から話し声が聞こえてくる。

「今吉さん、今吉さん‥‥今吉さん(どかっ)」「いったっっ?!!」「おはようございます今吉さん」「おはようさん‥‥ってなに、部長殴っといて平然とあいさつしとんねん、自分?!!」「そんなことより、入部希望者ですよ、今吉さん」「そんなことって?!!」「ほら、早くこっち来てください」

ばたばたばたばたと、騒がしくなった後、静かになったかな?と、思ったら急にドアが開く、

「ごめんね、またせて。どうぞ、入って」

美人さんに手招きされて入って見れば、そこはどこにでもあるような教室で、ただちょっと違うのは至る所に貼ってある写真達。

そのまま目線を目の前に向ければ、そこには、偉そうに校長なんかが座ってそうな椅子に座っている眼鏡の男子生徒(多分3年)。
偉そうな眼鏡が口を開く。

「ようきたな」
「はぁ、」
「あの偉そうなのは、写真部の部長今吉翔一さん3年生だよ」
「なんや、えらそうなのって」
「で、私が氷室辰美、よろしくね」
「ちょおっ?!無視すんなや!!」

なんだか、とても個性的な人達がいるところに来てしまった。

「わたしは、黒子テツナといいます。1年です

「よろしくね、テツナちゃん」
「もう、なんなん?自分ら‥‥まぁ、よろしゅう」

なんだか、おかしな部活だけど、でもそれがとても魅力的に見えたのも確かで、

こういう部活でもいいかなと、思った今日この頃でした。


***


「テツナ」
「あぁ、赤司君だうしたんですか?」
「いや、何部に入ったのかなって、気になってね」
「そうでしたか、赤司君は何部に?」
「僕はバスケ部だよ」
「そうですか、赤司君バスケ好きですもんね」
「あぁ、テツナは?」
「私は、ですね」









「写真部です」





fin

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