忘年会の慰安旅行
「慰安旅行に行きましょう。」
珍しく、突発的な事を言ったのはラオジュであった。幾ばくかのまたたきの後、その言葉の意味を汲み取り、苦労をかけたなぁとしみじみ思ってしまう。
「なら忘年会も兼ねて、温泉にでも行きませんかぁ?」
意外にも乗り気で言葉を繋げたリラを振り返る。リラは「いい感じの温泉街があるんですよぉ。お店の方のお客さんに教えてもらったんですぅ。」とのんびりとのたまった。
駄目ですか?と二人分の視線を受けて、小さくはにかむ。
「駄目なわけあるか。楽しそうじゃねーか。」
「ですよねぇ。」
「絶対乗ってくれると思いました。」
「……。」
なんとなく癪だ。付き合いが長いと言うのもいかがなものか。いやありがたいのだが。
ふと、なんとなくではあるが、二人もだいぶ楽しみにしているのではないだろうかと思い当たる。最近立て込んでいたし、ゆっくりするのも悪くないよな?
なんて、リラの言う温泉街への交通手段はどうするかな、折角だし旅行最終日はどんちゃん忘年会よろしく騒ぐのもいい、等と考えて、ふと旅館に泊まるのだと思い当たれば、自分の口角がにんまりと上がるのが分かった。
ラオジュとリラがうわぁ、と声を出す。
「閃いた。」
「「やめて下さい。」」
「そんな酷い事考えてないぞ。」
「ボスが何か企んでラオの胃が痛まなかった事の方が少ないですぅ。」
「失礼な。」
「実際その疲れもありますからね?」
「それはメンゴ☆」
「殺意が…。」
「抑えてラオ。」
全く失礼な二人だ。
だが二人の意見は却下だ。いいじゃないか、部屋割をアミダで決める位。
「どうせそれだけで終わらないでしょう?」
「否定はしない。」
「何をする気ですかぁ?…あ、やっぱりいいです。」
最後まで聞けばいいのに。まぁ教えないが。
サプライズはある方が楽しいだろ?
溜め息をつくリラを宥めながら、リラの言う温泉街について聞く事にする。
雪山が近くにあるらしい。そこでサバイバルスキーとかやらないだけよくないか?と言えば凄い顔をされた。可愛い顔が台なしだぞ。
どんちゃん宴会もいいれけど慰安旅行になるのか否かさて新年の計画も練らねえとな!