クリスマス!
「なぁボスぅ…。」
控え目に、けれどそわそわと落ち着きのない声で、プロテッツィオーネ構成員であるメグが自分のボスを見上げる。
「どうした?」
言葉の続きを促すように問う声だが、ボスであるルジェントの顔は全て分かっている、といった顔であったと、のちにその場に同席していた秘書のラオジュは語った。
「もうすぐ、クリスマスじゃないっスか。」
「そうだな。」
「…トクラにぃ、いやトクラさんに喜んで貰うプレゼントあげたいんだけど…何がいいかなぁって…。」
もごもごと照れたように口を動かすメグを、ルジェントは目を細めて見詰める。
その姿はさながら親に大事な事を相談する息子と、そんな息子の成長を喜んでいる父親のようだったと、のちにラオジュは語ry
「お前があげたい物をやればいいだろう?」
「でも、喜んでくれないかもだし…。」
「トクラはそんな奴か?」
「…違う、です。」
やっぱり親子みたいだとラオジュはしみじみと思う。
ラオジュはそんな二人の為に紅茶を煎れて、そっと二人の前に置いた。
その時ラオジュは見た。我らがボスが何やら企んでいるかのように楽しげに口角を上げているのを。だがあえて見て見ぬフリをする。長年ボスと居ただけあり、そろそろ諦めかけている部分がなくもない。
「……上司にプレゼントって変、ですか?」
「変じゃねーな。」
「変じゃないですね。」
不安げに言葉を紡ぐメグに、ルジェントとラオジュは声を揃えて言った。
その二人の言葉にメグはホッと息をつくが、すぐにソロソロと目線をそらす。
どうしたのかとラオジュがメグの様子を伺うが、どうやらルジェントは察しがついているのかしたり顔だ。流石ボス。
「…やっぱ、恥ずかしい。」
そんなメグの言葉にラオジュは小さく笑ってしまう。
ルジェントも思う所は同じらしく笑っていた。
メグがそんな二人に不満げに頬を膨らませ、言葉を紡ごうとしたのをルジェントが遮る。
「じゃあ口実を作ろうか、愛。」
ルジェントだけが呼ぶメグの名には、どこか慈しみが含まれているように感じた。
「え?」
ポカンとメグが口を開けて呆けているのを気にもせず、我らがボスはつらつらと続ける。
「幹部の奴らを楽しませろ、それが今回のゲーム内容だ。」
「え。」
「普段あいつらも頑張ってるしな、俺からのプレゼントって事で受け取って貰おう。」
「えっ、」
「まぁ楽しく皆でクリスマスパーティーっていうのもたまにはいいよな?」
「っえ、うん!」
「勿論サプライズだ。」
「うん?」
「幹部たちには内緒で実行するぞ。」
「お、おおぉ…!」
「さぁアイツら楽しませようぜ?」
「おお!」
それはそれは楽しそうな顔でした。ラオジュは呆れた顔でその時の事を語った。
Merry Christmas!まぁ…楽しんだもん勝ちですね。