私にはずっと好きな人がいる。
小さい頃の彼はは私より泣き虫で、
小さくて可愛くて。
守ってあげたいって思ってた。
だけど今じゃ・・・
「なまえ!きいてる?」
「へっ、あ、ごめん・・・
なんだっけ?」
祓魔師の対悪魔薬学を教える先生になっていた。
「もう・・・しっかりしてよ。
なまえが苦手だって言うから休み返上して教えてあげてるんだから・・・」
溜め息吐きながら目尻を押さえる雪男。
わたしの、大好きなひと。
「ごめんごめん、お願いします奥村先生」
苦笑しつつノートに目を落とす。
うん、さっぱりわかんない。
「・・・なまえさぁ、
ほんとに苦手なことはやらないよね。
ちゃんと苦手克服した方がいいと思うけど。」
「うっ・・・私だって克服したいよ?
でもわかんないんだもん。」
「僕だっていつまでもなまえの先生でいるつもりないからね」
ちょっとグサリと突き刺さる。
私の面倒なんか見てられないよねそうだよね・・・。
頑張らないとなぁ、なんてちょっと凹んで教科書とにらめっこ。カチカチと意味もなくシャーペンをノックすればボキリ、芯が折れた。
「・・・あのさ、なまえ」
「ん?」
「志摩くんに告白されたんでしょ?」
「え」
なんで知ってるんだろう。
私は雪男を凝視した。
だけど雪男は相変わらずポーカーフェイスで。どうしてこんな話題出したんだろうと困惑する。
「ちゃんとフッたの?」
「え、なんで?」
「なんでって・・・
なまえの好きなタイプじゃないじゃん」
「まぁ、そうだけど・・・」
私の好きなタイプは・・・というより、雪男が好き。好きなタイプの話なんて雪男としたっけ?首をかしげて考えるけど・・・記憶にない。
「それに、なまえが好きなのは僕でしょ?」
にんまり顔の雪男に私は心拍上昇、本日二回目、シャーペンの芯がボキッと折れた。
好きも嫌いも全部ばれてる