「ブン太ー。…ブン太ブン太ブン太ぁああああ!!」


「いや落ち着けよ!」



二度目まして、モブです。


そんなことより、今が授業中だってことさえ微塵も気にしないで泣き叫ぶこの隣の席のイケメン(ただし残念)を、誰かどうにかしてくれ。


「なあ、なんでブン太おらんの?なあなあ、なんで?意味わからん。ほんま意味わからん。これなんて苦行?」


「丸井は風邪で欠席って、さっき担任が言ってたじゃねーか。つかいい加減泣き止め」

俺がお前泣かせてるみてーになってるから。


「うぅ…あんまりじゃ…」



今日は丸井が珍しく欠席。
で、この仁王の荒れよう。

まあ、仁王のこの丸井溺愛っぷりはうちのクラスじゃ日常だから白い目とかはないんだけど、俺だけ巻き込まれるなんてそんなの聞いてない。

普段はうるさくて俺様な丸井だけど、そんなのが可愛く思えるくらいに今日の仁王はうるさうざい。
現に今だって俺のシャツに鼻水を…鼻水?…鼻水!?


「ちょ!何してんだよ!?」


「ズビッ…ティッシュ…なくて…っ」


「だからって人のシャツでかむとかありえねーだろ!」


「うっ…ブン太なら、殴りながらもティッシュくれるんにっ…うぇ…っブン太ぁああああ…!!」


「あー…あいつツンデレだからな」


「ツンデレがブン太の最大の魅力ぜよ!!!」


涙目のまま、バンッ!と机を叩き叫んだ仁王。
やばい、これは非常にやばい。
くる、あれがくる…!


「ブン太ってほんま可愛いと思わん?思うよな?思っとるんじゃろどうせ!けどブン太は絶対にやらんなりよ俺こう見えて独占欲強いんやけ!あぁブン太ほんま可愛い天使地上に舞い降りた俺だけの天使ブン太の天使の骨可愛いぺろぺろしたいてゆうか全身ぺろぺろしたい舐め回したい指先まで舐めて舐めてどろどろにしたいぐちゃぐちゃにしたいあの可愛い声と顔ですがってくるブン太まじえろいほんまえろい可愛さとえろさとさらには男らしさまで兼ね備えてるとか俺を殺す気なんじゃろうかああでもブン太に殺されるなら本望じゃな最期に景色全部がブン太ってそれ以上の幸せはないぜよまあ今も充分幸せやけどなけどゆくゆくは結婚するわけでそうしたらもっともっと幸せにしちゃるよ俺がやけ結婚しよブン太とかってかあっこいいプロポかまして今以上に惚れさせちゃるんっふっふっふそれにしてもブン太大丈夫じゃろうか休むくらいの風邪ってまさか熱とかもしそうならめっったに見られないくっそえろ+くっそデレブン太見れるチャンス…!?先生!俺早退しm「させねーよ!?」…はあ?なんでじゃ」


あ、終わったか。
いつものことながら仁王の超絶ノーブレス半端ねえな。
もはや尊敬の域。
んで授業しつつも聞き流さない先生すげえ。

当の仁王はというと、なんで帰らせてくれないのかほんっとうにわからないという顔をしている。
こんな顔でもイケメンなのが腹立つな。


「…諦めろ、仁王」


「嫌じゃ。俺は帰る!」


「はあ…じゃあ保健室行くふりして早退しろよ。俺適当に言っといてやるから」


「ほんま!?」


「おう。だから早く行け」


「お前さんええやつじゃったんじゃな…!ただチャラいだけやと思っとった!ありがと!じゃあな!」


そう言ったのと同時に手を挙げ保健室に行くことを伝えていた。
先生は溜め息をつきながらもそれを許可。
その時のこいつの笑顔は…それはもうすごいイケメンスマイル。

つーか俺甘いな…。

あ、勘違いしないでほしいのは、俺が甘いのは仁王に対してじゃなく丸井に対してってこと。
前仁王が休んだとき、あんなこと言ってたし…。


いやまあ、うちのクラスはこの紅白(バ)カップルに甘いんだけどな。





はあ…疲れた。




担任になんて説明しよう…。








その日の放課後、俺が理不尽な説教を受けたのは言うまでもない。






















..




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