▼佐藤=モブ、佐藤視点



「なあなあ林田ー」


「いや俺佐藤なんだけど」


「ん?そーなの?まあその林田くんはさ、仁王のことどー思う?」


「……ん?」



はじめまして、モブです。
なんだこの挨拶。は、置いといて。

俺は今、学食の注目の的です。
なんでかって?
それはね、丸井と一緒に飯食ってるからだよ(ウフフ、オッケー☆)。

普段は牽制オーラ出しまくりの仁王と食ってて、それが急に俺になったらそりゃ某カイジ並みのザワザワ…ザワ…な空気になるよねそりゃあ。
わかってるよ、わかってる。仁王と俺じゃ顔面偏差値が違いすぎるってことくらい。ついでに丸井とも違いすぎる。しかも独占欲くそ強い仁王がこんなこと(丸井と昼飯食う)を許すわけがない。

じゃあ何で今こうして二人で飯食ってるかって?


それはね、仁王が休んだからだよ。




はいそこ!溜める意味あんのかよとか言わない!




まあ、兎にも角にも、俺は今学食で丸井と飯食ってるわけで、しかも真顔で質問なんてされちゃってるわけで、冒頭に戻るわけで。




「…どー思う、って?」


「いや、単純にどー思ってんのかなって。ほら、かっこいいとか変態とかテニス上手いとか」


なんだその丸井らしくない質問。
あ、もしかして俺仁王のこと好きだと思われてる?
…もしそうならすげーーー厄介なんですけど。


「…まあ、顔整ってるなーとは思うよ」


「ふーん」


「え、あれだぞ!?俺が仁王好きとかありえーからな!?」


「ん?ああ、べつにんなこと心配してねーよ。お前女の子大好きなの知ってるし。てか万が一仁王のことすきでもあいつが俺以外に靡くわけねーからどっちにしろ心配とかはない」


おぅふ…。
何でもない顔しながらお惚気ですか。
さすがテニス部レギュラーは違うわ。
(周りのR陣の印象=良くも悪くも奇人)


「仁王ってさ、結構冷たい人間だと思われてんじゃん?」


「まあ…確かにな」


ただし、一部にはうざいくらいの態度とるけどな。その中でも丸井は別格だし。


「でもあいつ本当は冷たくないんだよ。寂しがりだしヘタレだしチキンだし」


後半罵倒だろそれ。


「特に身体壊したりすると精神的に弱くなってさあ。ガキかよってな」


悪態つきながらよくそんな優しい目できるな。ある意味尊敬するわもう。


「まあぶっちゃけ俺も熱とかでると寂しくなるしなんか悲しくなるし仁王に会いたくなるくらいには弱くなるんだけど」


そう言って苦笑いした丸井の顔は、苦笑いなのに綺麗で―――。


とかこーゆう雰囲気の話じゃないからね今回。
むしろほとんどの小説がギャグだからね。


「でもそれ違ったみたい」


「ん?違うって?」


「俺、弱ってなくても仁王に会いたいわ。あいつが側にいないってこんなに苦しかったっけ」


「…いや、うん、俺に聞かれても」


「だよなー。お前の使えなさはすげー知ってる」


最後の一言いらねーだろ!
けどまあ可愛いから許す!

てか、丸井ってこんなめんどくさい奴だったか?
ツンデレで素直じゃないのはもはやデフォルトだけど、自分の気持ちには素直に行動する奴じゃなかった?


「要は、今も会いに行きたくてたまらねーんだろ?」


「…べつに」


あーあーもう可愛いなあ!
あ、俺ほもとかじゃないからね!男に対して可愛いって思うの丸井くらいだ!そっちのがやばいか!まあいい!知らん!


「早退しろよ。俺テキトーに言っといてやるからさ」


「……俺は、お前に命令されて早退するんだからな。お前のせいだからな、林田」


そう言って丸井は足早に学食を去った。
学食っつーか学校も去るんだけどな。





「…てか、俺佐藤なんだけど!?」








俺の相手のいない突っ込みは、当たり前のように空中に消えた。













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