「なー知ってる?」 「知っとる」 「まだなんも言ってねえじゃん」 「主語無しで話し出す現代の若者にはすべて肯定で返しんしゃいっておばあちゃんが言っとったけのう」 「マジかよお前のおばあちゃんやべえな。てかそんなんどうでもいいんだよ」 「はいはい。で、何が知ってる?なん?」 「兎の本性」 「うさぎ?」 「お前今ひらがなの方のうさぎ想像してんだろ?違うからな、なんかちょっと怖い漢字の方だから」 「当たっちょるけど字なんてどうでもええじゃろ」 「よくねえよ!漢字の方が怖そうじゃん!まあ兎の本性知ったらもうひらがなでさえ怖いけどな!」 「お前はうさぎの何を知ってしまったんじゃ…」 「……兎ってさ、寂しいと死ぬって言うだろ?」 「おー、よう聞くねそれ」 「でも本当は、一人だとセックスできないから性欲拗らせて死ぬんだって!やばくね!?兎やばくね!?」 「オナニーできんのかうさぎ…」 「出来ないから死ぬんだろい…。すげえよな、セックス出来ないなら死ぬってなんかもうすげえすげえよな」 「ブンちゃんの普段の語彙力が木っ端微塵になるくらいにはすごいな」 「しかも兎、一年中発情期なんだって。年中性欲がある動物って兎と人間だけなんだって」 「怖すぎワロタ」 「……お前、みたいだよな…」 「……ん?」 「寂しいと死んじゃうの〜とか言いながら実はセックスしたいだけなところとか、さ」 「せっかく決め顔しとるとこ悪いんじゃけど、人を色狂いみたいに言わんで欲しいよ丸井くん」 「色狂い、か…。確かにそうかもな」 「あっかん腹立つその口調と影の感じ腹立つ」 「腹立つけど俺のこと好きすぎて殴ったりは出来ない様なとこ結構好きだぜ」 「ぐっ…こんなんで喜んでしまう自分が悔しか…。あっ、てかブンちゃんも人のこと言えんけえの?可愛い顔して淫乱じゃろ」 「淫乱じゃないし気持ちイイこと好きなだけだし快感を得やすい体質なだけだしそれをそのまま受け止めて表してるだけだし自然体だし」 「可愛い顔は否定しない辺りが最高よな。あと世間一般ではそういうの淫乱って言うから覚えとき」 「えーっ」 「ハッ、可愛すぎかよ」 「俺ってばマジ可愛いよな」 「ナルシストなとこさえ可愛いって思っちゃう俺はさすがに末期やなって自分でも思う。けど可愛い。どないしよ?」 「まあいいんじゃね?俺が可愛いのって事実だし」 「よな、別にええよな。俺が兎だとしてもブン太も兎やしええよな」 「ん?なんか話変わってね?」 「変わったっちゅうか戻った」 「あ、そっか兎か。……俺お前が何言いたいかわかっちゃった」 「さっすがブンちゃん」 「まあ俺も兎だしな。万年発情期の兎に付き合えんのは兎だけだろい?」 「うっひい、大好き!」 「…最後まで決まらねえ男だなお前は」 「ふふん、そんなとこも好きじゃろ?」 「調子乗んなバカ」 ... 兎とか関係なくなった |