▼仁←丸



おれのすきなひとは、おれじゃないひとをすきなんだ


おれがなにをいっても
なにをしても
そのひとみにおれがうつることなんてなくって

そのくちからおれのなまえがおれのわだいがはきだされることなんてなくって
そのてのひらがおれのてのひらとかさなることなんてなくって
そのくちびるとおれのくちびるがふれることなんてなくって


おれのことであたまんなかをいっぱいいっぱいにしてほしいのに
そのあたまはいつもおれじゃないひとのことでうめつくされてる

はいるすきまさえあたえてくれない





ああ、そうか

これが

これが、かたおもいってやつなんだ





なにをしてもふりむいてくれない


かなしい

さびしい

かたおもい、って、つらい


かたおもいをたのしめるひともいるらしい


おれにはひとのきもちなんてわからないけど、かたおもいはつらいよ、

おれにはたえられない












てにいれたい


ほしい


めにみえてぞうかしてゆくどくせんよく




ほしいほしいほしい






そのひとみにうつるのはおれだけ

そのくちからはかれることばはすべておれにむけて

そのてのひらはおれのてのひらとだけからみあう

そのくちびるはおれのくちびるとだけかさなる



しかいも、きゅうかくも、ちょうかくも、みかくも、しょっかくさえもうばってしまいたい




はじめて、ゆきむらくんののうりょくがうらやましいとおもった
























けどきがついたら、かれはおれのものになっていた

やみしかみえないひとみのおく、うつしだせるのはきっとさいごにみたおれのすがた

なにもかんじなくなったひふのした、おもいだせるのはきっとさいごにふれたおれのてとみずからのたいえき


すべてのきのうをうしなったかれがさいごにみてかんじたものがおれでうめつくされている


きっとあたまんなかだっておれでいっぱい








なんてしあわせなんだろうか





もうおれはかたおもいなんかじゃない


かれはずっとずっといつまでもおれのそばにいてくれる

よりそってくれる


じぶんからうごかないのがすこしだけざんねんだけど、そんなわがままいわないよ

こうしてそばにいてくれるだけでじゅうぶんだから







それに、かれのしろいはだにおれのすきなあかいろがとびちってすごくきれいなんだ


















「部長。最近仁王先輩見ないっすけど、風邪でもひいたんすか?」

「さあ?」

「さあって…」

「最近すごくブン太の調子がいいんだ」

「はい?俺丸井先輩の話しましたっけ」

「…いや。なんとなく思ったからさ」

「………そっすか」

「ふふ、検索するだけ無駄だよ。お前の脳みそじゃ追い付けない」

「幸村部長、今日一段とわけわかんないっす」

「狂っちゃった人間の話は頭がいたくなるね」

「……………じゃ、俺は狂わないようにテニスにのめり込んできまーっす」

「がんばってね」

「っす、」




「俺も大概、狂ってるよなあ」


















きょうもいえにかえればふたりきり


かたくとじられたくろーぜっとのなか、きれいにすわるかれがおれをまっている












「ただいま、におう」

















...
なんかチガウ




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -