「…ってのが、俺らの出会いじゃな」


「へぇー。…で、俺はそれを聞いてどうしろってゆうんすか」


「なんじゃ、もうちょっと位興味もってくれてもええじゃろ?大好きな丸井先輩の昔話ぜよ?」


「仁王先輩との昔話なんてヘドがでるくらい嫌っす」


「そんなん言わんと、…あ、ブン太ー!!」


「ん?おぉ、意外と珍しい組み合わせじゃん」


「丸井先輩が指導室なんかに呼び出されるから悪いんすよ!」


「ヘ?何で俺なんだよぃ」


「お陰で仁王先輩と2人で待つ羽目に…」


「お前さんが指導室に呼び出されんかったらええ話じゃろ。ブン太はなんも悪ぅないわぶぁかめ」


「つか仁王も呼ばれるよな普通ー。何で俺だけなんだよぃ!」


先「切原ー。早く入れ!」


「げっ…。わかりましたぁ…」


「アハハ!がんばってな〜」


「くっそ…」








***



「赤也と何の話してたんだよ?」


「なん、気になるんか?」


「べ、別に!?全然気になってなんかないんだからねっ!」


なんでツンデレ?どうしたの俺。


「おぉ、素晴らしいほどのツンデレじゃの」


「うめーだろぃ」


仁王に言われなくてもわかってるっつの!俺何やっても天才的だからさ!


「上手上手ー。てか9割素なんよね、それ」


「はっ?素なわけねぇじゃん!」


「まったまたー」


「うざーいそのノり。うざーい」


「なんで二回も言いよるんじゃ」


「大事なことなので!」


「…ふんっ、まーくんそんなことでしょげないもん」


「うわぁ。そんな気持ちの悪いまーくんに超かっこかわいいブンちゃんからプレゼントfor you」


そう言って差し出したのは、3年前と同じ、ピンク色のハートが包装に施されてる小さなチョコ。
毎年恒例のもの。


「………」


「…なんだよ、ありがとうとかねぇわけ?」


「…ありがと(´∀`///)」


「どーいたしまして!」


仁王は知らねーかもしんないけど、俺あの日チョコ渡すの意味もなく相当緊張したんだぜぃ?


「………?」


「…なんだよぃ」


今だってそれなりに緊張はしてるのに。恥ずかしい中渡したのに。なのにこのチョロ毛野郎…


「こんだけ…?(´Д`ll)」


だってよ。
これにはさすがの俺もキレた。


「ああああ!?これだけだとぉ!?いいじゃん!あん時と同じもん探すの毎年苦労してんすけど!?」


あの知らない外人見つけ出そうにもそんなんできるわけなくて!だからあの辺の店片っ端から回ってやっと見つけてるんだよ毎年!何故か前に売ってた場所には絶対無くなってるから本当大変なの!
ばっかじゃねぇ!!


「いや、ちゃう!そうゆうことちゃうから嬉しいから!これはこれでありえん位嬉しいんじゃけど…」


「だけど何!」


「ブン太の口の端についとる生クリームみたいなんは…」


「ぁあ!?ああ、これね、仁王への誕生日プレゼントで作ったんだけどさっき説教受けてる時に腹減ったから食ったの!」


つかそもそもさっき呼び出しくらったのだってこのケーキのせいだからな!?家庭科室の冷蔵庫に入れてたから!やっぱ学校になんて持ってくるんじゃなかったわ!てか今日部活しかねーのにホントなんで持ってきた俺!


「先生の前で?」


「…うん。呆れてた。でも旨かったらいいじゃん!」


「本当ならそれ俺の台詞なんにね〜」


はあ?旨いもんを俺が食わなくて誰が食うっつぅんだよぃ!
ケーキだって仁王に食われるより、俺に食われた方が幸せだろぃ。


「………」


「………」


「……ああもう!なんだよ!何が欲しいんだよ!」


なんなんだお前は!やめろその顔腹立つ!!


「べっつにぃ〜?」


「俺今金欠だし…!」


昨日むしゃくしゃしてシュークリーム馬鹿買いしたばっかだから。


「なんもいらんし〜。別にいいし〜」


うわっ、拗ねやがったきもい。
…うーん…なんかねぇかなあ…タダで、今すぐ手に入って、仁王が喜ぶもの…




「………あ、プレゼント思い付いた!」


「ほぉ?」


「お れv」


「………」


「悪ぃ、冗談だよぃ」


だからそんな顔しないでまじで。きついから、自分で言って相当恥ずかしかったから今。


「いや!ええよそれ!寧ろそれがええっちゃ!」


「…そこまで乗り気だとなんかやだ」


俺が最も望んでいなかったパターンAの方だこれ!


「いや、ええよ!そうと決まったら俺ん家行くべ!」


「うん、口調にもうちょっと配慮しようか。行くけどね」


軽くツッコミを入れながら答えて、2人で歩きだす。
学校から出ると一気に寒さが増して、自然とくっついて歩いてしまう。


「そんままお泊りなー」


そう言えば、今日午後練ないんだっけ。
…ってことはもう帰れるのか…。明日日曜だしな…


「…しょうがねぇなぁ…。誕生日だもんな」


「VIVA! HAPPY BIRTHDAY!!いやっふぅ〜!」


「…うっぜぇ…」


くっついた流れで自然と繋いだ手が予想以上に冷たくて驚いたけど、俺の(仁王曰く)赤ちゃん体温とやらですぐに温かくなった。




3年前の今日、仁王に出会えてよかった。
そして今、仁王の隣に居ることができてる幸せを噛み締める。







「誕生日おめでとう、仁王」








あの日と同じ。
仁王に渡したチョコと同じものをこっそり持ってる、俺。
でもぎゅぅってにぎりしめてたから、家に着く頃には手の熱でどろどろになってた。

今年も例年通り左の掌がなんとも言えない気持ち悪さでいっぱいだばか。












…でもまあ、来年の今日も左の掌が気持ち悪くあって欲しいかな…












(我ながら気持ち悪い願望だな)











..end

gdgdすいません^p^
とりあえず、仁王の一目惚れ話が書きたかっただけです←
HAPPY BIRTHDAY!仁王!




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