▼柳と幸村



「ねえ柳」


「…なんだ」


「何今の間。何今の間!」


「なんでもない。…で、どうした?」


「……。仁王とブン太って、うざいくらいいちゃついてるのに真田あんま怒鳴らないよな、って思って」


「なんだそんなことか。言っても無駄だと思ってるからじゃないか?弦一郎に見放されたら終わりだと思うが」


「たしかにあいつら怒っても意味ないよねー、怒った側が無駄に疲れるし。あれ、でも真田は柳のことも怒らないよね」


「弦一郎は俺を恐がっているようでな。……ところで精市」


「なんだい」


「そろそろ膝の上から降りてくれないか、部誌が書けない」


「えー、重い?」


「重くないこともない」


「遠回しに重いって言ってるよね、それ」


「無意識なのかは知らないがさっきから足をバタバタさせすぎだ、負荷が増す。いいか、俺とお前の身長は6センチしか差がないんだぞ」


「さらっと嫌味?俺ね、柳の膝の上すきなの」


「いつだったかもそんなことを言っていたな。俺には理解できない」


「柳は柳の膝に座れないからねー」


「…そうだな」


「俺、柳の膝がすきっていうか柳が好き」


「喜んでいいのかそれは」


「柳も俺のこと好きなら喜んでいいんじゃない?」


「なら喜んでおこうか」


「ふふ、嬉しい」


「神の子と畏れられる精市に喜んで貰えるなんて光栄だな」


「神の子ねー」


「どうした?」


「いや、別に?俺神の子ー」


「…まあでも、無理に背負い込むことはないと思うぞ。いくら王者だ神の子だと言われても所詮子供だ、通り名に押し潰されたら元も子もないだろう」


「通り名なんてそんな弱っちぃものに俺は押し潰されないよ」


「頼もしいな」


「全国トップクラスの部活の主将だからね。頼られすぎくらいじゃなきゃ」


「そうか」


「………でもさ」


「ん?」


「柳の前では糸弛めちゃっていいかなあ」


「是非そうしてくれ」


「…ありがと。あ、真田には内緒ね」


「聞いたらまた騒ぎだすな」


「俺嫌いなんだよあいつの怒鳴り声。心臓にも耳にも悪いじゃん」


「弦一郎のあれも昔からだからな。今更治らんだろう」


「あー、たしかに。…そうだ、赤也にいい子になってもらおう」


「成る程」












...
幼なじみみたいな関係がすきです。




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