「ブン太くんや」


「なにかな仁王くん」


「これ、なんですか」


「ピーマン?」


「なして疑問文?…は、まあええわ。して、これを食えと?」


「うん」


「はい、俺の嫌いな野菜栄えある第1位は一体何でしょー」


「ピーマンだな」


「知っててか…知っててこれか…」


「ピーマン嫌いを克服してもらおうと思いまして」


「いや無理、」


「もうつべこべ言ってねえで早く食え。冷めたらおいしくなくなるだろい」


「嫌じゃ!無理!絶対に無理やし!せめて、せめてな!?せめて野菜炒め!!!」


「うるせえなあ!15にもなってピーマンすら食えねえのかよ!」


「やってこいつ苦いんやもん!」


「もんって言うな気持ち悪い」


「苦いの嫌いじゃあああ!!」


「うちの弟だって頑張って食えるようになったんだぞ?最近5歳になった弟が!」


「それはそれじゃ。だいたい、こんな緑色したの食い物やないけえのう」


「食べ物の悪口言ったら食の神様に罰せられんだからな?お前の今の発言死刑レベル」


「…ううっ、ブン太がお弁当作ってきてくれる言うけ、朝からなんも食っとらんのに」


「だから、ほら。てかお前普段から昼までなんも食わねえじゃんか」


「それはそれじゃ!そんな一面緑色の弁当食ったら死ぬわ!」


「折角さっき家庭科室で炒め直してきたのに!温かいのに!食べろよ!」


「そういう問題やない!ほんまに無理なんじゃピーマンだけは!柳生になっても幸村になっても真田になってもブン太になってでさえ食えんかったんじゃ!」


「さすがのイリュージョンも味覚までは無理なんだな」


「そうなんよ…」


「…あ、」


「ん?なしたんじゃ悪い顔して」


「幸村くんのイップスで味覚奪ってもらえば?したら食えんじゃん?やべ、俺ってばやっぱ天才的」


「奪われとる間は食えるけど克服にはならんよね、それ」


「…だな。やっぱ根性みせるしかねーよな。うん」


「根性みせてまで克服する問題じゃない。そこまでして食う価値がピーマンにはない」


「あーん」


「!?!?!?」


「ほら、早く。あーんして」


「くっ…!100年に1度あるかないっちゅう幻のあーんを今やるとは…!卑怯ぜよ!!」


「食えねーの?俺への愛はピーマンに負けんの?そんなもんなの?」


「負けるわけなか!ええよ、食っちゃるよピー…ああああああん!!」


「引っ掛かったな馬鹿め!さあ食え!」


「………………ぐすっ」


「……え、うわ、まじ泣き?」


「く、口移しやったら食ってあげてもええ…」


「泣きながら何言ってんだよ。お前今相当気持ち悪いぞ」


「冷たい!ええじゃろ!そんくらいしてくれても!」


「……」


「……」


「はー…しょうがねえなあ…」


「…ん?」


「口移しなら、ちゃんと食うんだよな?」


「!!おん!」


「絶対って約束できる?」


「おん!!」





「なんだこいつ弟より手えかかるわ…」













「仁王先輩と丸井先輩って兄弟みたいっすね」

「しかもブン太が兄な」

「仁王くん可愛い仁王くん可愛いああ!仁王くん!!」

「眼鏡全反射してるし気持ち悪いよ。それにしてもブン太たちはいつになったら俺らの存在に気付いてくれるんだろうね」

「2人がこちらに気付く確率、0.01%」

「低すぎじゃないっすか!?」

「いや、もう完全に2人の世界に入っちまってるからそのくらいだろうよ」

「え?ああッ!俺の丸井先輩が…!」

「赤也のじゃないよ、俺のブン太だよ。勘違い甚だしい」

「仁王くんはワタシのものですよ!」

「いらないよ仁王なんて。ほんとどっかいけ全反射眼鏡」

「精市、あまり罵倒しない方がいい。柳生はマゾだ。それと口調が崩れているぞ」

「まじ!?柳生先輩ってやっぱMなんすね!キッモ!」

「じゃあ優しくすればいいのか?」

「ジャッカルは誰にでも優しいじゃない。ちょっとブン太にベタベタされすぎだけど」

「幸村の微笑みってマジ怖いよな」











...
ピーマン食べれない仁王って可愛いかなって




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