｢ねえ妙技師｣ ｢…………え、俺？｣ ｢他に誰がいるのさ｣ ｢お、おう｣ ｢ねえ詐欺師｣ ｢プリッ｣ ｢うっざい｣ ｢ほんま理不尽｣ ｢はあーあ。いいなー、いいよなー｣ (今日の幸村くん、なんか変じゃね？) (変なのはいっつもやけどね) ｢そこ。何か言ったかい？｣ ｢なんでもないぜよ｣ ｢ならいいけど｣ (あれ、案外普通？) (でもなあ、雰囲気がいつもと違うじゃろ) (やっぱ変だよなあ) ｢はあ…｣ ｢……幸村くん、なんかあったの？｣ ｢別に大したことじゃないよ。ただちょっと、悩み事があって｣ (ななな悩み事だって！悩み事だって！) (おお落ち着きんしゃいブン太！なにがあっても俺はお前さんを守っちゃるき！) ｢あーもーはいはい、要らないよそういうの｣ 『すいませんでした』 ｢けど幸村くんが悩み事とかなあ…珍しすぎ｣ ｢ほんまにの｣ ｢俺だって人の子…間違った、俺神の子って設定だったんだわ｣ ｢設定とか言っちゃだめ！｣ ｢まあ、神の子でも悩みの一つや二つあるっちゅうことじゃろ｣ ｢相談とかのるぜ？ジャッカルが｣ ｢できればブン太にお願いしたいな、ブン太に｣ ｢もちろん！俺でよければ！むしろ聞きたいなあ！｣ ｢ブン太の掌返しわろた｣ ｢…………実はね｣ 『………』 ｢俺も、なんちゃら師ってのが欲しいんだ｣ ｢へー……へ？｣ ｢ブン太は妙技師で、仁王は詐欺師だろ？２人してお揃いずるい｣ ｢しかも同じクラスやしの。羨ましかろ｣ ｢死ね｣ ｢流石に直接的過ぎるぜよ｣ ｢そんなんいつもだろい｣ ｢いやまあそうなんじゃがの｣ ｢お前にはそのくらいが合ってるってことだよ｣ ｢ブンのはツンデレなだけってわかっとるし｣ ｢そろそろ話戻してもいいかな｣ 『すいませんでした』 ｢そこで、俺にもなんちゃら師ってのつけて欲しいんだ！｣ ｢あー……幸村くんかあ…｣ ｢幸村…｣ 『………………あっ』 ｢ん？なになに？｣ 『魔術師』 ｢……｣ ｢あれ、気に食わない？｣ ｢結構かっこいいと思うんじゃけど｣ ｢いや、噛むじゃん？｣ ｢えっ｣ ｢噛むじゃんまじゅちゅ師…早速噛んじゃったよ！｣ ｢俺噛まねえけど｣ ｢俺もよう噛まんのう｣ ｢じゃあ大きな声で言ってみなよ！さんはい！｣ 『魔術師』 ｢キィーッ！｣ ｢精市。あまり声を荒らげるな、身体に障る｣ ｢柳！？いつからいた！？｣ ｢今来たばかりだ。精市の叫び声が聞こえたんでな｣ ｢参謀こわ｣ ｢！柳さあ、ま、じゅ、つ、し、って、噛まないで言える？｣ ｢……まじゅちゅっ｣ ｢ほら！柳だって噛むんだよ！｣ ｢まて精市。もう一度チャンスをくれないか｣ ｢柳真面目かよ｣ ｢別にいいよ｣ ｢んっ、んんっ。…まずつっ…｣ ｢やっぱ噛むよね！そらみたことか！ってことで却下｣ 『えー』 ｢えーとか言える立場じゃないだろ｣ 『ですよねさーせん』 ｢あれ、こんなとこで何してんすか？｣ ｢ワカメ…！幸村くん！このワカメが噛まなかったら却下取り消ししてくんね？｣ ｢ワカメ？いきなり悪口？｣ ｢３対２になるしの。多数決の原理でさっきのに決定じゃ｣ ｢は？え？ちょ…？｣ ｢うーん、じゃあそれでいっか！絶対噛めよ、ワカメ｣ ｢さあ赤也、言ってみろ｣ ｢あの…何を言うんすか？なんなんすかこれ？俺に説明をください｣ ｢かくしか｣ ｢へ〜そうだったんすか！って納得できるかあ！！なんの呪文だよ！｣ ｢うるさいよワカメ！とにかくまじゅちゅっ…ブン太｣ ｢魔術師｣ ｢って言えよ！｣ ｢…………魔術師｣ ｢ほら言えた！よくやったなあワカメ！！｣ ｢ご褒美にちゅーしちゃる！｣ ｢あんたのちゅーなんかいらねっすよ！可愛い女の子がいいっす！｣ ｢可愛い女の子じゃねえだろ、同じクラスのあの子だろニヤニヤ｣ ｢あーあの図書委員のニヤニヤ｣ ｢顔もセリフも腹立つ！！！｣ ｢盛り上がってるところに水を差すようで悪いが、精市が今までに見たこともないくらいうなだれている。…どうにかしろ｣ ｢参謀投げやり過ぎィ！｣ ｢自分でどうこうする気が一切なくていっそ清々しいな｣ ｢む！幸村まで、こんなところで何をやっているのだ！とっくに練習は始まって、｣ ｢真田！まずつっ…ブン太｣ ｢魔術師｣ ｢って言ってみて！｣ ｢それがなん、｣ ｢早く言えってば｣ ｢う、うむ。…まじゅちゅっ、…………すまない｣ ｢いいじゃんよくやったよ真田！初めて役に立ったよ！｣ ｢複雑な心境だな弦一郎｣ ｢さあこれで３対３だよ！｣ ｢………いや、うん、でもなんかさあ…｣ ｢のう…｣ ｢三強って…｣ ｢誰一人魔術師言えねんだな｣ ｢三強、やのにな｣ ｢なんか俺切なくなってきました｣ 『……』 ... 俗に言う強制終了 |