「頼もー!…うわ怖!ここバスケ部だよね?ヤクザ事務所じゃないよね?」

「いきなり来といて失礼すぎるだろい」

「おお、何や君ら道場破り?」

「あ、妖怪サトリ」

「今吉ね。幸村くん人の名前覚えられなさすぎだよ」

「ん?どっかで会うたことあるっけ?」

「ないね!ところで青峰は?」

「青峰は呼び捨てなんじゃな」

「あんなクソガキ呼び捨てでいいんだよ」

「わはは、君青峰の知り合いなん?けど残念やなあ、あいつならおらんで。帰ってなかったら屋上におると思うけど」

「よしキタ!連れてくる!」

「は?いや無理やと思うで……足速いな」

「ああ見えてパワー系でもあるから困るよな」

「すんませんうちのわがままプリンスが」

「いやいや、青峰連れて来てくれるんならトントンやで。…けどまあ、余りにも素性も目的もわからへんから説明してもらえるとありがたいんやけど?不審者なら追い返さなアカンし」

「ああそれはもちろん。な、仁王」

「……俺?え、俺!?嫌じゃめんどくさい」

「今まで散々俺喋ってきただろい。もう疲れた。俺までわがままプリンス発動しそう」

「わがままプリンス2人はきついのう…しゃーない、俺が説明するわ」

「お、決まったみたいやな。よろしく、仁王君」

「何で俺の名前…ああそうか、まあええわ。さっき青峰を連れてくるって気合い入れとったのがめちゃくちゃ赤司に似とるんよ。けど本人は氷室か実渕に似とるって言って聞かないけ、まあそっから色々あって…ここは口じゃ説明できんから聞かんでくれると嬉しいんじゃが、キセキ1人1人に会いに行こうってなって今に至る」

「1番大切なとこ端折ったな」

「勘弁したげて、本当はこんな長々喋れるやつじゃないから」

「わはは、ええよええよ。しかし青峰なあ…ほんまに連れてこれるんやろか。桃井もおらんし」

「あ、桃井ちゃんいねえんだ?まあいっか」

「うん?桃井にも用あったん?」

「いや、いたらラッキーくらいの感じだから大丈夫だぜ。……てかいーの?さっきからすげえ見られてるよ、今吉さん」

「うわ怖ッ、ヤクザ事務所かここ」

「お前もか仁王。失礼だって」

「…あ、休憩終わってんねや。いやいや皆してそんな怖い顔せんでええやん。ごめんなあ、ワシ練習戻らなあかんから、えーっとどうしよかなー…さっきの子が戻ってきたら勝手に帰ってくれてもええし、青峰に尋問してもええし、まあ変なことせえへんのやったら好きにしてって」

「ありがと!」



「………体育館って暑いな」

「ほんまに。俺暑いのだめなんじゃけど」

「寒さには強いのにな」

「冬生まれじゃき」

「そっか」

「おん」


「…………幸村くん、遅いな」

「幸村のことじゃけ屋上で寝とっても不思議じゃない」

「たしかに。むしろ俺らのこと忘れて帰ってても不思議じゃない」

「充分ありえるけど人としてありえんよな」

「今更だろい。幸村くんと何年付き合ってんだよ」

「最低あと3年は付き合わんとあかんしの。エスカレートで大学まで同じやったらどうしよ」

「大学までいったらさすがに幸村くんも大人しく…ならなそうだな」

「俺ら一生胃薬とお友達じゃね」

「お前知ってる?ジャッカルって胃薬飲んだことねーんだぜ」

「は?ほんまに?明らか1番ストレスかかっとるじゃろ」

「マジマジ。あいつ肺だけじゃなく胃腸とメンタルも鉄壁だから」

「そりゃブン太の幼馴染みやってられるわけじゃ」

「あん?どういう意味だこのやろー」

「どういうも何も、あ、幸村」

「ん?あ、幸村くん」

「……何あれあの引きずっとるんまさか青峰とか言わんよな」

「いやいやいくらなんでも身内でもねえやつ引きずるなんてそんな…違うよな?」

「やあ!青峰連れてきたよ!」

「違くなかった!あかん!もうあいつだめじゃ!」

「ほんと穏やかじゃねえなァ幸村くんは!!!」

「ていうかこいつ重いんだけど!何食べたらこんなデカくなるわけ!?」

「幸村くん、もしかしてそれイップスかけて…」

「うん、イップスかけた。五感ないよ」

「ダメじゃろ!えっ、てか丸腰でイップスかけれるようになったん…?いつから?」

「いつだっけなあ、半年前くらい」

「もう俺わかんねえ…幸村くんがわかんねえよ…」

「やだな、こんなのやろうと思えば誰だって出来るじゃない。それにしても青峰起きないね」

「いや何他人事みたいに言ってんの!?あと誰でも出来ねえから!」

「……ンッ、…………は?」

「あー起きたー!やっと起きた!まったくどれだけ俺に重い思いさせれば気が済むんだってそろそろ蹴ろうと思ってたところだったよ!アッ…今のダジャレじゃないからね?」

「誰もダジャレなんて思わんかったし、なんでそこで照れるんじゃ」

「ケツいてぇ…テメェマジでここまで引きずってきたのかよ!」

「当たり前じゃない!こんな小さなこと有言実行出来ないやつに主将が務まるわけないからね!」

「は?俺アンタが言ってることまだ何一つ理解出来てねえんだけど」

「馬鹿な脳みそで理解しようなんて思えるだけ偉いじゃない。さ、仁王、ブン太、本題に入るよ」

「………そうだな。さっさと話終わらせて青峰開放してやらねーとな」

「屋上からここまでって階段相当あるじゃろうに…」

「本題って何だよ?つか俺に何の用?お前ら誰?」

「質問だらけかよ!俺があれだけ屋上で説明してやったのに!」

「アンタのは説明になってなかったじゃねーか!しかも最初普通に寝てただろ!」

「いやあ、ポカポカしてる日の屋上ってなんであんなに気持ちいいんだろうねえ」

「やっぱ寝てたよ幸村くん」

「だと思ったわ」

「もうッ、皆俺の話したいのはわかるけど、早く本題に入ろう?」

「こんなにも明確に殺意沸いたの初めてじゃ」

「抑えろ仁王。初めまして青峰くん。今から、お前をここまで引きずってきた怪力わがままプリンスの話しをするから、どのくらい赤司に似てるかを判断してくれ」

「赤司?つかわがままプリンスってこの人?」

「怪力って言うなよ美しくない。パワーSって言って」

「幸村くん黙って。そうそのお前の隣にいるちょっと頭おかしい人ね。赤司はお前が思ってる赤司で合ってるよ。じゃ、仁王から」

「えー…部内での権限最高峰に立っとる、主将、スポーツ万能頭もずば抜けて良い、部内からは恐れられているものの生徒や教師からの信頼は厚い」

「赤司の話してんのか?」

「いや、わがままプリンスの話。まあそんだけ似とる言うことじゃな。次ブン太」

「はいよ。趣味がちょっと男子中高生のそれじゃない」

「赤司の趣味ってなんだっけ」

「乗馬だろい」

「あーそうだった。確かあいつ中学ん時合宿所の近くの、なんかそういう馬に乗れるみたいなところで係りの人が引くくらい乗りこなしてたわ」

「因みに幸村くんはガーデニング。ガーデニングが趣味とかどんだけ清純派イメージ定着させてえのって感じだよな」

「今日のブン太は言うねえ!イップスかけちゃおっかな?ん?」

「ブンもストレス溜まっとるち勘弁してあげて」

「ならお前な」

「理不尽再び」

「あとお前も体験したさっきのやつ、あれを試合中に相手にかける」

「何も見えなく聞こえなくなるやつか?あれすげー怖かったんだけど!」

「怖いよな、わかるぜ。試合中にやられたらたまったもんじゃねえよな。だって避けようがねえんだもん。お前の周りにもさ、五感奪うまではいかねーけど、それどうやって避けたらいいんだよ!て技使うやついるだろい?」

「……赤司、か」

「せいかーい!つまりそこのわがままプリンスと赤司くんは似てる?似てない?」

「似てんな、そっくりだ」

「もう一度イップスかけてあげようか」

「はァ!?意味わかんねーよ!」

「はいこれでキセキ3人の証言が揃ったね」

「あんたら他のやつらにもこれ聞いて回ってんのか?」

「そ。わがままプリンスが全員のとこいくってきかねえからさ。今んとこ黒子くんと緑間くんと青峰くんの証言しか揃ってないけど」

「ふーん…でも赤司は京都だし紫原なんて秋田だぜ」

「そのへんはわがままプリンスがどうにでも出来るち大丈夫じゃ」

「俺のことわがままプリンスって呼ぶな!」

「はいはい。ごめんなわがままプリンスのワガママに付き合わせちまって。あとイップスも。じゃあ俺らこれで帰るわ」

「あ、おう…」

「青峰も何てことないただのクソガキだったね!」

「ちょ、幸村くんまだ青峰いるから!自分が見える範囲が全てみたいな思考回路やめてほんと!」

「振り向いた途端これか!幸村の頭ん中どうなっとん!」

「なんか、あれだわ、頑張れよ」

『ありがとう!』

「早くしろ二人共!置いてくよ!」



「次は京都へ行こうか〜!」

「エッ神奈川じゃねえの!?」

「地元だろ!馬鹿か!」

「ああそっか…………え?」

「もっ、幸村ほんま速っ!何気ブン太も毎回ついていけとるし…!待ちんしゃ、い…!!」










「あれー青峰。部活出るなんて珍しいやん」

「……今吉サン、ゴカン奪うやつとはどうやって戦ったらいいんだ」

「なんの話?ゲーム?」

「ゲームっつうか、試合っつうか」







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