テニヌ | ナノ

｢到着！｣

｢この辺あっちだと氷帝？｣

｢それっぽいの。敷地面積は圧倒的にちゃうが｣

｢頼もー！｣

｢幸村くんそれさっきダメって言ったよね！？｣

｢またか幸村！！！｣

｢……あ？｣

｢なんかガラ悪いの来た｣

｢んだよ急にデケェ声出して誰だテメェら｣

｢は？誰かもわかんねー相手にその態度なの？俺らがお前より上の人間だったらどうするわけ？頭ん中までハニー色なのかよ？｣

｢あ"あ"？急に現れた奴に敬意払えってのかよ轢くぞ｣

｢簡単に轢けるわけねえだろ殴んぞ｣

｢頭キタお前マジで轢く焼く刺す｣

｢はいはいドーゾその前に俺がテメェのことボッコボコにして命乞いさせてやるよ巨人が削ぐぞ｣

｢…ふっざけ｢宮地ストップ！｣
｢…ざけん｢ブン太そろそろ終わって｣

｢あ、大坪君｣

｢ん？…すまん、知り合いだったか？｣

｢ああいや、俺が一方的に知ってるだけ。それよりごめんねー、この子喧嘩っ早くて。基本的に売られない限り割りと常識人なんだけどさ｣

｢いや、こちらこそすまんな。宮地も口と態度が悪いだけで良いやつなんだ｣

｢うちもうちも。やー、大坪君が出てきてくれて良かったよ！これ以上二人がヒートアップするようならどっちにもイップスかけておさめるしかないなって思ってたとこだったからさ！｣

｢幸村くんごめんね俺すっげえ反省してる｣

｢は？急になんだコイツ｣

｢お前も謝っとけよ、五感奪われっぞ｣

｢……悪かったな。五感奪うってなんだよ…｣

｢二人共元気なのはいいけど初対面に喧嘩売るのは良くないからね。反省してるならいいけど！｣

｢あれ、おかしい幸村が常識人に見える…｣

｢仁王帰ったらイップスね｣

｢とばっちりきた！｣

｢で、君たちはうちに何か用事か？宮地はそんな怖い顔してないで練習戻ってていいよ｣

｢へいへい｣

｢愛想悪くてすいません。で、本題は｣

｢かくしか｣

｢僕、征十郎、あっ赤司ですね。赤司の友だちなんですけど、先日赤司から緑間君へ預かり物を頼まれまして。家は知りませんし、学校の窓口へ届けても良かったんですが、せっかくここまで来たなら少し挨拶させて頂けないかなと思い立ち寄りました。お時間よろしければでいいので、緑間君とお話させて頂けませんか？と申しております｣

｢あ、ああ…そうか。けどなんで君が通訳？を？｣

｢この方は10文字以上喋りたくないわがままプリンスなので｣

｢わがままプリンスかあ…さすが赤司の友だちだな！もう少ししたら休憩だから、その時でよければ｣

｢ありがとうございます｣

｢文系万歳じゃな。けど宮地に喧嘩売ったのはほんまにどうしようか思った…心臓に悪い…｣

｢ごめんつい。売られたら倍にして返さなきゃって血が騒いじゃって｣

｢ブン太、なんで俺のこと赤司の友だちって設定にしたの！？設定だけでも嫌だ！黒子のと同じ理由で良かったじゃない！｣

｢黒子と同じのだと、たぶん緑間は俺らのこと確認して知らない人間だって判断するから追い返されるよ。緑間がたとえ不審に思ったとしても追い返せない人物は？赤司だ。なら赤司の名前使うしかねーだろい。確認してる時間もない。もし確認したとして、本当に赤司の友だちだった場合こっちを待たせることになる。赤司の友だちを待たせるなんて失態と、半信半疑だがこっちの話を聞くを天秤にかけたら、そりゃ話聞く方に傾くに決まってんじゃん｣

｢ものの数秒でそこまで考えとったんか｣

｢こういうのって理系のが得意なんじゃねーの？｣

｢いや、選択肢も答えもようさんある時点で向き合いたくもない｣

｢その点俺ってオールマイティーになんでもできるから困っちゃうよね｣

｢幸村くんほんと今日わがままプリンス極めてるけど大丈夫？威厳とかそういうの｣

｢ブン太が冷たい…反抗期だ…｣

｢それさっきも聞いたぜよ｣

｢仁王黙れ｣

｢だからなして俺だけ！｣

｢すいません、赤司から預かり物があると聞いてきたのですが｣

｢あーお疲れ緑間くーん｣

｢まあ座りなよ。疲れてるっしょ？｣

｢座り座り｣

｢はあ…。あの、預かり物というのは｣

｢ああそれね、嘘｣

｢は！？｣

｢俺が赤司の友だちってのも嘘。ああちょっと逃げないでよ不審者ではないから！｣

｢逃げるとかではないのだよ！休憩と言えど見ず知らずの人に付き合ってる時間など俺にはない！｣

｢まあまあ、いいからその浮いた腰降ろして。黒子くんは取り合ってくれたよ？なのに緑間くんはなんにも聞いてくれねえの？てことは黒子くんのが心広いのかー｣

｢……ふん、聞いてやらんこともないのだよ｣

｢文系すげえ｣

｢これは文系関係ねーっての｣

｢ねえ緑間君！緑間君的に、俺と赤司って似てるかい！？｣

｢は？いや、…特に似てはいないかと｣

｢ほらー！だよねだよね！｣

｢違うじゃろ幸村。あんな、こいつわがままプリンスって言うんじゃけど、今からこいつに関することをいくつか言うち、それがどのくらい赤司君と近いか判断してほしいんよ｣

｢わがままプリンス？赤司？まあ、はい、わかったのだよ｣

｢みんな状況理解早くて助かるわー。じゃあ俺からな。月に１回、いや多いと週に１回、このわがままプリンスが思い付いた突拍子もないことにレギュラーが巻き込まれる。因みに拒否権なんてものは初めからない｣

｢赤司もよくやっていたのだよ｣

｢お、なら次俺な。部員、生徒、教師にまで信者がおる｣

｢まさしく赤司だな｣

｢おーいいねいいね、順調だ。最後、上級生を押し退けて部長就任｣

｢赤司なのだよ。赤司以外の何者でもないのだよ｣

｢はい決まりー！幸村くんは赤司！｣

｢なんだよ緑間くん！さっき似てないって言ったじゃないか！！！｣

｢話しを聞いた結果だいぶ似ていたのだよ｣

｢赤司とのシンクロ率何％？｣

｢100％……いや、外見を抜いて93％と言ったところか｣

｢やばいなそれ！二卵生双生児より似てる！｣

｢認めんしゃい幸村。俺はもう疲れたぜよ｣

｢やだ…死んでも認めない…！！｣

｢なんなのだよこの人は。ちょっと怖いのだよ｣

｢あ、あんまり怖いとか言うとイップスかけられるから気を付けろよ｣

｢イップス？極度の緊張状態により何も感じられなくなってしまうあれか？｣

｢そうそ、やっぱ物知りだねー。正確にはイップスではないんだけど、それとほぼ同じような症状に陥らせる事が出るんだよ。試合中に｣

｢試合中だと…？｣

｢俺らテニスやっとるんじゃけど、その試合中によう相手が五感失うんじゃ｣

｢なんだそれは本当にテニスなのか｣

｢うんテニス。俺の技は比較的まともかな。こいつの技もなかなか現実離れしてておもしれーよ｣

｢ちょ、俺なんてまだまだ許容範囲内じゃろ！黄瀬と似たようなもんやけ｣

｢黄瀬と？貴様もコピー能力があるのか？｣

｢貴様って…。ああおん、コピーとはまたちぃと違うんじゃが、まあそんなとこじゃ｣

｢俺はどっちかっつーと緑間くん系統かなあ。磨いて磨いて極める感じ｣

｢ほう、テニスもなかなか面白そうだな｣

｢おもしれえぜ！ってか幸村くんは？……幸村くんは！？｣

｢は！？あ、おらん！幸村コラァ！！｣

｢……バスケ、してるのだよ｣

｢…バスケなら五感奪えねえから大丈夫か？｣

｢いや大丈夫じゃないじゃろ普通に迷惑ち連れて帰るぞ！｣

｢幸村くん！！！！帰るよ！！！！｣

｢ドタバタですまんの緑間君。ありがとう！｣

｢バスケ楽しかったあああああ！！｣

｢良かったね！赤司認定もされたしもう帰ろう！｣

｢は？まだたった2/7じゃないか！次はどこにしようかなあー！｣

｢いやもう勘弁して！！！｣

｢ちょ幸村速ッ、バスケしとってなんでそんな汗ひとつかかずにっ、ちょっ、ちょお！｣

｢…なんだか、不思議な連中だったな｣

｢あれを不思議で片付けられる大坪さんは凄いのだよ｣

｢いや、なんかもう、規格外すぎてな｣

｢わかります。久しぶりに赤司に振り回されたのを思い出しました｣

...