「風邪ひいたなり」

「へえ、珍しいね」

「ほんまに。こゆ時一人暮らしじゃと困るわ」

「ご愁傷様」

「まだ死んどらんから。死にそうやけど」

「行く。この前の借り返しに」

「おん」










「……なんで寝てねーんだよ」

「寝たら死ぬ」

「雪山じゃないから大丈夫。早く寝ろ」

「…階段で落ちたら助けてな」

「……了解」


「うわっ、ちょ、フラフラじゃん!」

「2階にベッド置いたんが間違いじゃった」

「そもそも、一人暮らしのくせになんで2階建て借りてんの」

「なんとなく」

「ほんとばか。よく風邪ひいたな」

「関係ないじゃろ」

「あるよ。馬鹿は風邪引かない、ってよく言うだろい」

「……」











「…よしっ」

「ちょ、布団こんなにいらん」

「だって熱あんだろい?寒気とかしねー?」

「するけど熱まだ計っとらん」

「は!?やっぱ正真正銘のばかだな!」

「やってもし高熱だったらそれだけで気分悪なるし」

「病は気から的な?」

「的な」

「それはどう見ても精神以外からの要因が考えられない人にだけ使える言葉だ」

「プリッ」

「つーことで、はい。体温計」

「おん」


「…40.8度」

「思ったより高いのう」

「座薬挿す「遠慮するわ」

「冗談だよい」

「Sっ子ブンちゃん発動か思うた」

「腹減ったな」

「いきなり。けど食ったら吐く」

「知ってる。だから俺が仁王の隣で食うの」

「ああ、前言っとったあれな」

「そ」








「あー、うま」

「なに味」

「味噌たまご」

「それ食ったことない」

「食う?」

「吐いてもええんなら」

「いいよ。ごみ箱完備してるし」

「なら食う」

「、はい」

「あーんって言ってくれんの」

「食わせてやってるだけ有り難いと思え」

「………」

「いいから早く食えって」

「おん」

「…うまい?」

「うまい」

「まずいなんて言ったらシバき倒そうと思ってた」

「俺病人やけんね一応」

「ふっ、吐かねぇじゃん」

「ほんとじゃ。ブン太が食わせてくれたからやなか?」
「違うと思う」

「否定早!」

「腹減りすぎて吐きそうだったんじゃね?」

「まっさか。ブン太じゃあるまいし」

「まあでも、確かに風邪酷いときって吐き気とかするよな」

「じゃろ」

「吐いちゃえば?少しは楽になるぜい」

「吐けないだに苦しんどるんじゃ」

「咽に指突っ込んでやろ「いらん」

「冗談だって」

「冗談に聞こえん」

「半分本気だからね」

「さっきから言うとるじゃろ?俺病人」

「だって仁王ほんとに苦しそうなんだもん。楽になるならちょっと手荒な方法もしょうがないじゃん?」

「…情けないのう…」

「なんで」

「弱いとこ見せてもうた」

「今さら。いっつも格好悪いから大丈夫」

「格好悪いとこは見せてもええんじゃ」

「どうあがいても格好悪いもんな」

「ひっどい」

「弱いとこも格好悪いとこも全部見せれる関係っていいと思うよ、そんなやつ滅多にいないし。それに俺がそういう相手になってもいいって仁王が思ってくれたら嬉しい」

「…ええこと言うたね」

「まじ?俺天才的」

「こんな時までかっこ可愛いとか反則なり。てことで林檎食いたい」

「お前の口からそれ言われるとキモいな」

「嘘。言ってみたかっただけじゃ。ほら、風邪んときとか入院しとるときとかよう林檎剥いたりしとるじゃろ」

「俺はやったことねーけどな」

「じゃあ俺の為に剥いて」

「…しょーがねーなあ」

「うさぎさ「それはさすがにキモすぎる」…せやね」





「ほれ」

「結局うさぎさん」

「うん、擦ってもよかったけどね。風邪ひいてるし、顎使うの怠くね?」

「いや、うさぎさんでええ。どうせ一個しか食わんじゃろうし」

「俺がせっかく切ったのに一個しか食わねぇのかよい」

「残りはブン太が食べるやろ」

「もちろん」










「よし、薬も飲んだし悪化しないうちにそろそろ寝ろ」

「一緒に寝る?」

「弟たち家にいるから帰る」

「えー、残されたら死んじゃう」

「…………はぁ、しょうがねぇなあ」

「やっさしい」

「だってほら、風邪ひいたときって寂しくて泣きそうになるじゃん」

「あ、俺のパクり」

「受け売りっつーの」

「どっちでもええわ。とりあえずはよう寝よ」

「今日限定で抱き枕になってあげる」

「普段からそのサービス欲しい」

「また風邪ひけばいいじゃん。ひかれたら困るけど」

「矛盾しとるね」

「ねー」











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