「かぜひいた」

「おん、すごい声しとる。電話越しにでも菌飛んできそうじゃ」

「家に誰もいない」

「ほうけ」

「気持ち悪すぎて歩けない」

「飯食った?」

「食ってない。さっき最後の気力振り絞って玄関の鍵開けてきた」

「行く」

「遅い」









「もっと可愛い顔想像してたんやけどねえ」

「熱40度もある人間に可愛い顔なんて求めんな」

「照れてるときより顔赤い」

「当たり前だろい」

「はい、ひえぴた」

「えーそれ貼るの」

「なんもしないよりだいぶマシじゃろ」

「貼る瞬間に心臓止まるから嫌」

「我が儘言いなさんな」

「ゔー…」

「ほれ、前髪あげて」

「……ん」

「おん、ええ子」



「んっ、むぅ…」

「心臓止まんなかったじゃろ?」

「いきなりキスされる方が心臓に悪いってのを知らねーのかお前は。しかも風邪うつる」

「ブンの風邪なら大歓迎じゃな」

「気持ち悪い」

「今日のブン太可愛くないけどえろい」

「お前のスルースキルなんなの?てか腹減った」

「お粥とうどんさんとどっちがええ?」

「アイス」

「2月にか」

「部屋暖かいから関係ねーじゃん。寒気はするけど」

「腹ん中なんも入っとらんのじゃろ?いきなりアイスはどうかと思うけど」

「じゃあベタにお粥」

「の後アイスな」

「うん」










「あつっ」

「まあ、煮とるからね。冷まして食べんしゃい」

「俺むり、仁王食わせて」

「ガキか」

「うん。まだガキ」

「しょーがないのう」

「なに仁王、今日優しいね」

「いっつも優しいじゃろ。ブン太こそ今日ツンツンしとらんね」

「いっつもツンツンしてねーじゃん」

「ほれ、口開けえ」

「うん」




「…うまい」

「そりゃどうも」

「でも俺が作った方がうまい」

「じゃあ俺が風邪ひいたらブン太看病してな」

「おう。されっぱなしは好きじゃねーからな」

「けど俺風邪んとき食欲失せるタイプじゃ」

「なら寝込んでる仁王の隣で俺がお粥食っとく」

「なんじゃそれ」

「人がもの食ってんの見てると食欲湧かね?」

「そんなんブン太だけなり」

「まじかよい」

「…あ」

「なに」

「でも、うまそーに食ってるブン太見とると幸せな気持ちになる」

「ちょ、それすごくね。俺ってやっぱ天才的」

「やけ、早う風邪治してな。いくら飯食えるゆうても、やっぱブン太は元気な方が似合うとるだに」

「おう、」











「じゃ、俺そろそろ帰るわ」

「え」

「さすがにもう親とか帰ってくるじゃろ」

「あー…うん。ばいばい」

「…ブン太?」

「なんだよ」

「ばいばい言う割に、俺の服めっちゃ掴んどるんやけども?」

「ああ、ごめん」

「…いてほしいん?」

「ち、違うし!早く帰ればか!」

「なら帰る」

「うっ、ちょっ…、」

「はいはい。まだ居るよ」

「い、いいよいなくて!てゆか何笑ってんだよい!」

「大きい声ださんの。風邪んときひとりじゃと、寂しゅうて泣きそうになるもんねえ」

「…別に寂しくないし」

「はいはい」

「ガキ扱いすんなばか」

「自分でガキじゃ言うとったの、どこのどいつじゃ」

「ここの丸井くんだね」

「じゃろ」













...
変態じゃないと誰だかわかりませんね、仁王くん




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