｢最近自殺のニュース多いっすねえ｣ ｢最近やっと表に出るようになったってだけじゃ。前から自殺者だらけよこの国は｣ ｢そうなんすか？それも酷い話っすね。けど俺、自殺できるなんて凄い！勇気ある！て考えよくわかんねーんすよね｣ ｢まあ、お前さんはわからんじゃろうな｣ ｢えーじゃあ仁王先輩はわかります？｣ ｢たった１個しかない命、自分で絶てるなんて凄いじゃろ。痛いし苦しいし、それに向かって進むのは相当勇気いると思うけど｣ ｢俺は死にたくてもつらくても生きていく方がすげーと思うんすけどねー｣ ｢生きとったら何かしら良いこともあるかも知らん。死んだらその先なぁんも無い。否定しとっても本能的な部分ではそんなん分かりきっとるのに、死を選んどん。なかなか出来んじゃろ｣ ｢んー…。でも自殺出来る＝強い人間ってどうも腑に落ちないっす｣ ｢昼間っからそんな暗ーい話してんじゃねえよ｣ ｢あ、丸井先輩はどっち派っすか？｣ ｢続けんのかよ……。あー、そうだなー…」 ｢新しい派閥作ってもええよ｣ ｢派閥って…。…んー…俺死ぬとかよくわかんねーわ。てかつらい思いしながら生きてくのも大変だし自殺だって大変だろい。どっちもどっちじゃね？」 ｢けどけど！自殺したらもうそれ以上は苦しまないじゃないっすか！生きてたらつらいことばっか起きるかもしれないのに、それでも生きる方を選んだんすよ？強いじゃん！」 ｢そんなこと言うたら、死んだらその先にあったかもしれん幸せなり味わえんじゃろ？しかも死ぬなんて想像も出来んくらい痛くて苦しいんに自分でそれが出来るんやで？絶対強い」 ｢そもそも強いなら死なねーっすよ！｣ ｢ハァ？なら、｣ ｢はいはい、わかったから睨み合うのやめろ。すげー恐い顔してんぞ２人とも。第一な、考えなんて人それぞれなんだから別にどっちだっていいじゃねえか」 ｢でも！｣ ｢なら赤也。つらくてつらくて自殺した人に向かってお前すげー弱いなって言えるか？」 ｢…死んでるから言えるわけないじゃないっすか｣ ｢そういうことじゃねえだろ｣ ｢………言えねっす。つらかったんだろうなって思います｣ ｢だろ？はい次は仁王。つらくてつらくて、それでも死ねずに生きてる人に向かって早く死ねよ弱いななんて言えるか？」 ｢………よう言わん｣ ｢だろい。死ぬ生きるに関して、弱い人間とか強い人間とか周りがとやかく言う問題じゃねえんだよ。わかったか」 ｢なら身近にいる自殺志願者にはなんて言ったらいいんすか？｣ ｢なんも言わねえで黙って話し聴いとけばいいんだよ」 ｢？｣ ｢自殺志願者になに言ったって聞く耳持たず状態で、こっちの言うことなんか右から左へ通り抜けだろい？だからなんも言わねーで相手が喋り疲れて止めるまでじっくり聴いてやればいい。吐き出したら少しくらいは楽になるからな」 ｢先輩…！たまにはまともなこと言うんすね…！！」 ｢久々にまともなブンちゃんに会えた…！チビるくらい嬉しい…」 ｢うん、お前らは今思いっ切り失礼なこと言ってるからな｣ ... |