テニヌ | ナノ

▼そういえば(以下略)の直後、会話文

｢あーっ、笑った笑った｣

｢お前さんが恋なあ…フッ、｣

｢仁王いい加減笑うのやめてやれよ…ブフッ、｣

｢もう笑っててもいいから女の子の落とし方教えてください｣

｢ハイハイもう笑んねえから拗ねんのやめろ｣

｢落とし方って、それ聞く相手間違っとらん？幸村とか柳とかのがええじゃろうに｣

｢部長はたぶん、俺が美しいからだよ！とかって言うと思うんすよ。で、柳さんはデータ的にはどうのって教えてくれるけどそんなことより勉強はって親みたいなこと言ってきそうで…｣

｢すげえ言いそう｣

｢幸村はガチで言うからな｣

｢あそこまで清々しいナルシスト見たことないけど幸村くんだからオールオッケー｣

｢さすが幸村厨、歪みないの｣

｢ちょっと話ずれてるっすよ！｣

｢なんだっけ、女の子の落とし方？｣

｢です。先輩たちモテるじゃないっすか。どうやって落としてんのかなって｣

｢いや落とすも何も｣

｢勝手に落ちとるだけやしのう｣

｢くそっ…イケメン爆発しろ…！｣

｢目の前で言うなよたしかに俺はイケメンだけども｣

｢ブンも大概ナルシスト｣

｢お前も自分のことイケメンだって言うじゃんかー｣

｢事実やし｣

｢あの真面目に聞いてるんで真面目に話してくださいお願いしますほんと｣

｢あ？…しょーがねえなあ可愛い後輩が初めて恋してモヤモヤムラムラしてるってんなら話くらい聞いてやるよ｣

｢やめて！そこまで的確に俺のこと表現しないで！つーかなんで恋してんの知ってんすか！？｣

｢ほぉ、恋しとるうえにムラムラしとるんか｣

｢えっ、や、あの、｣

｢いいじゃん別に恋もするしムラムラもするって。男なんだし｣

｢俺もいっつもムラムラしとる｣

｢仁王先輩のその情報はいらねっす｣

｢仁王の安定の気持ち悪さな｣

｢ひっどいまーくん泣いちゃう｣

｢はいはいシカトシカト。で、赤也はその好きな子と今どんな感じなわけ？友達？お互い意識してる関係？｣

｢…………一回だけまともな会話して、あとは挨拶しかしたことないっす｣

｢｢は？｣｣

｢あ、でも！話しかけようとはしてるんすけど！あの！あまりにも緊張して！あの！｣

｢お前さんがここまでやって思わんかっただけに驚きを隠せん｣

｢普段のお前どこ行ったよ？｣

｢話しかけようって意気込んでも、本人目の前にすると急に緊張しちゃって…｣

｢よくそれで落とす方法とか言えたな｣

｢うっ、｣

｢とりあえず友達になるとこからスタートじゃな｣

｢……ですよねえ…｣

｢まあそんな落ち込むなって。友達からってことは今後お前の印象を自分次第で良くも悪くも出来るんだぞ？好印象与え続けたまま友達になって、そっから頑張って男として意識して貰えばいいだろぃ｣

｢！まるいせんぱい…！｣

｢なんかあったらいつでも話聞くしさ｣

｢俺っ、丸井せんぱ｢はいストップーそれ以上俺のに近付いたら幸村呼んできてイップスしてもらいますー｣

｢うわ、今のすげー青春っぽいシーンだったのに！仁王先輩のケチ！｣

｢相手がブン太じゃなかったら完全にスルーしとった。どんまい｣

｢他人事！｣

｢てかお前いつの間に恋とかしてたんだよ？部活でいっぱいいっぱいのくせに｣

｢ほら、前に図書委員の仕事押し付けられて部活少し遅れてったことあったじゃないっすか。その時に、その、はい｣

｢ごめんそれ全く覚えてねえけどとりあえずベタだな。お前らしくて良いと思う｣

｢それ褒めてます！？｣

｢褒めてる褒めてる｣

｢これで赤也も童貞卒業間近かのう。ハジメテの次の日は真田にお赤飯炊いてもらわな｣

｢真田のお赤飯ちょー美味いよな｣

｢あれは絶品じゃ｣

｢えっ、副部長って料理出来るんすか！？てか先輩いつ食べたの！？ずるい！！｣

｢真田が和食なら作れるとか言うから興味持っちゃった幸村くんの提案で真田に作ってもらったんだよ。そっかあれ赤也レギュラー入りする前か｣

｢えーずるいー！ずるいずるい！！！｣

｢知らねえよ。お前はこれからその彼女に和食でも洋食でもイタリアンでも作って貰えばいいだろぃ｣

｢彼女メシ！？彼女メシっすか！？｣

｢なにその新しい単語｣

｢彼女メシええよ。何がってそりゃ俺の為に作ってくれとるわけやから作っとる間はずっと俺のこと考えてるっていうスーパー豪華なオプション付きってとことか｣

｢その単語知ってて当然なの？なんなの？｣

｢うわ～～！仁王先輩めちゃくちゃ羨ましい！！！｣

｢ドヤァ｣

｢ていうか仁王彼女いたんだ？｣

｢｢えっ｣｣

｢…え？俺なんか変なこと言った？｣

｢いやいや。いくら仁王先輩がヤリチンだの枕営業ナンバーワンだの呼ばれててもさすがにそれはないっすよ｣

｢ブン太おるのに彼女とかわけわからんすぎて泣けてくるのう。可愛いし男前だし料理うまいしエロいし言うこと無いのになして他のやつの相手しなあかんのじゃ。叫んだろか｣

｢だって俺男じゃん、彼女じゃないじゃん、てことは彼女出来たのかなってなるじゃん｣

｢先輩頭良いのに悪いな！！｣

｢赤也に頭悪いって言われた死んでくる｣

｢おいこらこのモジャ公なに俺の傷つけとるんじゃぶち殺すで｣

｢急に怖すぎるっすよぉ…！｣

｢……まあ冗談はこの辺までにして｣

｢冗談だったんすか！？よかったあ！｣

｢そろそろ昼休みも終わるし、赤也くんにアドバイスをあげよう｣

｢！｣

｢て言ってもまあお前の場合、話しかけるとこからスタートだな。これが出来なきゃなんにも始まらないだろ。挨拶以外で話すことが出来るようになったら、次はさりげなく優しくする、と同時進行で気付くか気付かれないかのレベルで得別扱いする。そうすると自然と二人でいる時間が増えると思うんだけど、意識して増やしてった方がいいかな。その子図書委員なんだろ？だったら昼休みに図書室行ってみるとかさ。いいか、優しくするのも得別扱いするのも、はじめのうちは気付かれないってのがポイントだぞ。序盤で気付かれたら告白成功率が50%まで減ると思え。で、そうやって距離縮めてってある日その子が、あれ、最近赤也くんといること多いなあってふと気付いたらもうこっちのもんだ。あとはガンガン行け。あからさまな特別扱いも、相手に好意を持ってるって意識させる材料になるから大丈夫。以上｣

｢う、うおおおおお…！｣

｢普段の授業も、そんくらい真剣にメモ取りながら聞けばあとあと怒られんのにのう｣

｢仁王もなんか言ってやれよ｣

｢あー…んー、ならひとつ。その人とおる時は、相手の口調や仕草をさりげなく真似してみんしゃい。人間はお互いの違うとこだけを無意識に汲み取って好きか嫌いか分別するんやけど、同じところが多いイコール違うところが少ないって錯覚するからさりげなく同じことしてたり同じような口調だったりする方が好かれやすいんじゃ。これも気付かれたらアウトやけそこだけ気を付けてな。以上｣

｢……｣

｢どしたん震えて｣

｢会いたい？会いたいの？｣

｢｢カナやーーーーん｣｣

｢ちげっすよ！あの先輩たちが真面目にアドバイスしてくれて感動してるんす！｣

｢あのってお前。あのって｣

｢真面目に言え言うたんお前やし｣

｢そうっすけど、なんつーか、こんなまともなアドバイス貰えると思ってなかったっつーか、恋愛の話なんてのろけられて終わりだろうなって気持ち半分で聞きに来たんで｣

｢お望みならのろけてやろうか？ん？｣

｢えっ、ブンののろけめっちゃ聞きたい！聞きたい！聞きたすぎて鼻血でそう！可愛い！｣

｢意味がわからん｣

｢…アドバイスくれてる時の頼もしさはどこいったんだよ……｣

...
それでも先輩大好きな童貞ぴゅあかや