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ディオと一緒に受けた長い退屈な講義が終わり、私は即座に次の教室へ逃げようと決意していた。なのにディオは私に次の講義はと聞いてきたので逃げるわけにもいかず、馬鹿正直に答えてしまうと同じ講義だから一緒に行こうと誘う。私は咄嗟にトイレにも行きたいし〜買うものもあるし〜と適当に言えば、ディオも付いていくというのだ。ただえさえも一緒に講義を受けていた私は、彼のせいで目立ってしまっているというのに。絶望に打ちひしがれる私を、ディオは引き摺りながら次の教室へと向かった。ディオは一方的に話をしてくるが、私はこの場をどう切り抜けるのかを考えるので精一杯だった。だって次の講義を一緒に受けたら、その流れでご飯食べるっていうに決まっているッ!!先程も断り損ねたので、なんとしてでも阻止したいと考えていたのだが、本当にトイレに行っても待っていてたし、買う予定もなかったお茶を買うのについてきてくれればお金も払ってくれた。余計な借りを作りたくなかった私は必死に支払いを拒否したが、ディオは男ならこれくらい奢らせてくれと言う。周りにいた生徒は流石ディオ!なんていう眼差しで見ていたが、是非ともこのお茶をそこの君に無料でプレゼントしたいくらい私にはしんどいものであった。
移動時間もあり、次の講義までそう時間がなかったというのに、無駄な回り道で講義室に着くまで少し時間がかかってしまった。講義室に入ると承太郎がいるのが見える。助かった!と心の底から喜び、彼の元に行こうとするとまさかのディオもついてきて、横に一直線でディオ・私・承太郎という不思議な配置になってしまった。承太郎はそんな私を何か言いたげそうな目で見てくる。あれはなんでディオと一緒にいるんだっていう目だ。というか私は許してなんかないぞ!!承太郎にこんな沢山飲まされたから、まだ体がだるいっていうのに!!!ディオが隣にいなかったら私は地味に承太郎へ嫌がらせをするはずだったのに、とことん今日の計画をディオに崩されるのだった。



いつのまにか寝ていたようで、体を揺すられて起きる。目を覚ませば講義は終わり、皆講義室を出る支度をしていた。承太郎を見ると、承太郎の隣に既に花京院がいる。いつも三人でご飯を食べていたので、今日も本当ならば三人仲良く何処かで食べるはずだったが。

「すまないが、今日は僕と先約があってね。なぁ名前」

何か告げる以前にディオが言い放ってしまうものだから、断れなかった私はどうしていいのかわからず、ただ立ち尽くしていた。

「名前はいつの間にディオとそんな仲良くなったんだい?」
「いや、僕が友人として一方的に興味があるだけでな」
「じゃあ尚更邪魔するわけにもいかないかな。承太郎、行こう。またね、名前」

花京院、物わかりよすぎだろっていうくらい気を使って、承太郎を連れて行こうとする。私は内心置いていかないでと思っていたので無言で見つめてくる承太郎に、ひょっとしてこのsosに気付いてくれたんじゃないかと淡い期待をしたところでトドメを刺された。

「こんなおっさんみてーな女、どこがいいのか俺には理解できねーな」

うるせーーーッ!!!一瞬でも期待した私がバカだったと後悔し、去る承太郎に今講義で使ったばかりの教科書を投げると教授にそれを見られて呼び出しをくらうのだった。簡単な注意でよかったものの、とんでもない目にばかりあう。そんな私をみて面白いやつだなあと笑うディオ。絶対本当はそんなこと思ってないだろう。だって小汚いやつなんて言うくらいだ。本心は物凄く性格の悪い奴に決まっている。私は彼に貶められない様に距離を置くことにした。

ディオは何が食べたいかと聞いてきたが、私は君がいるとお腹なんて空くどころか、どうこの場を切り抜けるかとかそんなことに必死で、ご飯食べたいなんて思えない。そう本音を溢してしまいたい気持ちを抑えて、適当に学食でも食べようと返すのだった。こうしている間に周りの女子も、あの子誰っていう目で睨んでくる。これもまた嫌なんだよなあ。ディオのせいで、下手に目立ってしまう感じが。もっと他にも女の子や男の子が一緒にいてくれればまだよかったが、二人でいるから尚更目立ってしまうのだ。だからってこの件に承太郎や花京院を巻き込むわけにもいかない。あ、そうだ私の友達がいたじゃないか。ディオのこと好きだといつも言っていたあの友達が。ぜひ彼女を誘おうと決めたところで、彼は何を察したのだろうか。適当に頼んだご飯を食べてながらこう言った。

「もう話は聞いたかもしれないが、君には仲のいい友人がいたよな」
「昨日ディオの隣に座っていた子のこと?」
「あぁ。実は昨日の帰り道に彼女から告白されてな」
「...は?!?」
「聞いてないのか...?」
「昨日酔っ払いすぎて、情けないことに寝て起きて大学だったから..」
「確かに随分酔ってたよな。本当は僕が送って行きたかったんだが、承太郎に断られて出来なかったんだ」
「え、まって。全然理解できない。承太郎と話したの?」
「承太郎は君にとってどういう存在なんだ?」
「どういう存在って、ただの友人だけど」
「そうは見えない」
「どういう意味。っていうか、その私の友達の告白は?!」
「断った」

申し訳なさそうに話すのではなく、楽しそうに私を見てそう言った。何か違和感がある、普通の人じゃないっていうか。彼は人の心を見透かす能力でもあるのだろうか。今日半日行動を共にしていて、全て彼の通り動いてしまっている。現に私が友人のことを考えてた矢先に、こういった話をしだしたのだ。私にどんどん逃げ場がなくなっていく。一体、ディオは秘密を知ってしまった私をどうしたいのだろうか。
気になることは沢山あるが、私はそれ以上彼に追求するのはやめた。こういう話は仲のいい友人に話を聞いた方がいい気がして。

「わ、私このあと教授に呼ばれてるから行くね!」
「なら次は、タイミングが合えば学校帰りにご飯にでも行こうじゃあないか」
「え!」
「嫌か?」
「そんな、嫌とかじゃなくって、その!」
「じゃあ決定だ。それと僕の連絡先登録しといてくれないか?携帯をあまり見ない様だが、着信が入っているだろ」

嘘。真っ先に携帯を見ると、確かに登録されていない番号から一件、着信が残っている。どこで私の連絡先を、そう聞こうとすれば彼はまたわかっていた様に自分から話す。

「昨日、君の友人から聞いたんだ」
「振った上で?」
「振る前に。君が承太郎と外から戻ってきたときだったかな」

ディオはまた妖艶に笑う。先程も振ったと言いながら笑っていたのは、私の反応を楽しんでいるからだった。そして今も私を見て、同じように楽しんでいるのだ。確信した、彼はあの場に私がいたと知っていた。接点もない私に、あんな姿を見せる理由がどこにもない。多分だが、あの姿を見せた後に私が外から戻って来たのを知って、気づいたに違いない。偶然その場にいたのが私だったというだけだ。私じゃなくて他の人があの場にいたら、今ここにいるのは私ではなかっただろう。運が悪すぎた。私はその場を一方的に去り、今後平和な大学生活を送る為にも、極力ディオとは関わらない様にと心に決める。

20200506