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※アバッキオ視点

任務を終わらせて、いつものレストランへ向かっていた時だった。たまたま目に入ってきた光景。がたいのいい男三人に対し、女が一人囲まれていた。関係ないことだと素通りしようとしたが、その女に見覚えのある。あれは確か、ジョルノの妹だ。あんまり話した事がない。ジョルノの後をいつもついているようガキが、一人でいるのが珍しかった。あいつがスタンドが使えるなんて話は聞いた事がない。めんどくせぇが、気分で助けてやることにした。

「おい、何してんだ名前」

そういうと、驚いた顔をしてこっちを見る。

「ジョルノと一緒じゃねえのか?」
「どうしても読みたい本があったんだけど...」

まともに会話したのがこれが初めてだったのかもしれねえ。どうみても強引に連れて行こうとしているのはみてわかる。あまり派手なことをしたくないが、聞き分けがよければこんな事にはなっていない。名前の腕を掴む男を力任せに殴って、その仲間も次々に倒してやった。ぼけっとこっちを見る名前に逃げるよう促すとその場から離れた。

「なんで一人なんだ。ジョルノのとこに帰れ。どうせあいつはアジトに..」
「お願いッ、お兄ちゃんにはこの事言わないで!!本当は家を勝手にでると危ないからって怒られるの..。でもどうしても読みたい本があったし、毎回お兄ちゃんを連れ回すわけもいかなかったから」

ジョルノの元に返そうとすれば、嫌がる。お前ら仲のいい兄妹だと思っていたが、ジョルノが必要以上に過保護って事か。この兄妹の事を、昔ブチャラティが言ってたなぁ。微笑ましい兄妹だが、その過去は暗く両親とは離れて二人で暮らしているとかなんとか。適当に聞いていたから、曖昧にしか覚えていないが。
せっかく一人で勇気出して外に出たのに初日からこれだとこいつも一人で出歩くこと怖がるんじゃあねえかと思って、とりあえずは家まで送ることにした。
人の過去にどうこう言う気はねえが、まあジョルノ以外頼れるやついねえんだろうな。

「ジョルノがいなくて困った時は相談しろ。買い物くらいなら付き合ってやる」

そう言って別れを告げる。まあ行くもいかないも本人が決めることだ。俺が言えるのはそれだけだった。

思えばあれから、ジョルノが怪しい行動をとるようになった。例えばジョルノが名前を外に連れ出していた時に話せば、明らかに嫌な顔をしていた。生意気なクソガキ。誰に向かってそんな顔してやがると腹が立ったが、きっと隣にいる名前の異変に気づいたんだろう。俺といたことを知らないから、きっと会う人会う人にこんな態度をしていたに違いない。
それからフーゴを通してから名前が買い物に付き合ってくれと連絡が来た事があった。別に時間も空いていたから、昼飯も食いたかったし適当なところで待ち合わせして一緒に街を歩いた。普段こんなことはしねえ。電話をしてきた時もそうだ、ドルチェを買う時も。こいつ、何でもかんでも相手のことばかり考えて自分を押さえ込もうとする。この歳で苦労した人生を歩んだと思うと、どこか放って置けなかっただけだった。

だがしかし、話せば話すほどよく笑うタイプだと知る。関わる機会は徐々に増えていき、いつのまにか目で追うようになっていった。そんな時に兄妹喧嘩が始まった。ジョルノは妹を大切に思いすぎるっつーか、重てえくらいに大事なんだろう。靴が似合っていると言っただけで、何故か俺に喧嘩腰で話してくる。普段はこんな態度じゃないが、妹が関わってくると違う。だから少なからず思っていた事を言ってしまう。自由にしてやったらどうだと。それに言い返してきたジョルノに名前が反発して、兄弟喧嘩勃発。あー、うるせぇ。喧嘩するならよそでやってくれと思いながら見ていると相当限界だったのか、嫌いと名前が叫んだ。その言葉にこの世の終わりみたいな顔してどこかへ走っていくジョルノ。あとで仲直りしろと言うものの、やってしまったと言わんばかりの顔をする。自分の責任でもあったから、その後も任務を文句言いながらもジョルノの代わりに出てやったりすることもあった。ムカつくことにジョルノが三日も顔を出さない。いつまでショックを受けているんだと腹が立つが、それよりも最後に見た名前の意地を張りながらもやってしまったと後悔するあの表情が忘れられなかった。お互いまた言葉でぶつかり合えばいいもののあの二人のことだ。まだ謝ってないんだろうな。一度考えるとなかなか頭から消えてくれない状況が嫌になり、思わず電話をし相手の状況を確認しつつ仲直りするように促した。電話を切った後に、思い返す。もっと俺と仲良くなりてえって言葉を。
明日にはジョルノが機嫌を直してまた戻ってくるだろう。そのあとにまたどこか出かければいい。そう思っていた。しかし次の日になって、ジョルノがアジトへ来たかと思えば、胸ぐらを掴まれる事態となる。おまえ、誰に喧嘩売ってんだよ。素手じゃ絶対勝てねえっつーのによ。

「どこにいるんだ」
「てめー誰にその口の利き方してやがる」
「いいから出せよ名前をッ!!」

一体なんの話だと状況を理解できないでいた。

「家に帰ってこないなんて、今までなかったッ!」
「俺のとこになんてきてねーぞ」
「じゃあどこだって言うんだッ」
「ついに嫌になって逃げたのかもな」

嫌味ったらしくそういうとジョルノが瞬時に落ち込み、何かを言おうとしている。なんだ、意外におめーも反省してんじゃあねえか。もう一押しすれば家から出してもらえそうな気がした。
昨日電話で話したといえば、また拗らせそうだ。しかしあの電話の展開的に、てっきり仲直りしにいったかと思っていた。何か引っかかる。違和感が消えない。ジョルノ一人だけでも探せる能力はあるとわかっていたので、ジョルノに任せよう考えていたが、そんなやりとりを見ていたのかブチャラティが「何もないといいが、一緒に探してこい。こちらは気にするな」と言ってくる。おいおい、ブチャラティ。一緒にいけというが、俺はジョルノが正直嫌いだ。あいつの妹が絡んでなかったら普段なんて絶対にやりたくねえ。ガキは嫌いだ。なのに、なぜか名前の存在が頭に過ぎる。舌打ちをせずにはいられず、ジョルノの後を追いかけた。

ムーディー・ブルースを使って昨日の夕方くらいの名前をリプレイする。電話を切ってから、どこにいったのかを追跡を始めた。不思議とムーディー・ブルースは家の外へ出ていき、街中を走り回った。誰かを探すような素振りだ。仲直りする気だったのか?と考えた矢先だ。いきなり地面に叩きつけられたかと思えば、何度か頭を地面にぶつかる。これは、襲われてんじゃあねえか。一体誰がこんな事をしたのか知りたくて、今度はその叩きつけたやつを再生すると見覚えのある顔がでてきやがった。それを見て、少なからず自分のせいだと後悔する。

20200711