「あなた様を、迎えに参りました」
私の家に現れた突然の客人たちは、私に向かって片膝を立て頭を垂れた。
「…え、ええ!?」
驚きの声をあげるしかない。
涼太も目を見開いている。
「…む、迎えに来たってどういうことですか!?しかも、あなたたち誰ですかっ…!」
「───突然の来訪申し訳ありません。ですが急な出来事だったもので…」
「は?」
なんの話だろう。
急な出来事…?
「まさか、こんな国境間近に住んでいたとはな…もうすぐで人間達が住む国なのだよ」
緑の髪の人は、感心したように言った。
「まあ、それよりも早く連れていかねーとだろ。式が始まるまであと2時間しかねーよ」
「そうだねー。早く行かないとうるさい爺たちがいるしねー」
式が始まるまで2時間?
勝手に話が進められていて何もわからない。
「というわけで、名前様。あなたを連れて行きます」
水色の髪の人は、いつの間にか私の目の前にいた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっス!!あんたたち何言ってんスか!?」
ぐいっと涼太に腕を引っ張られ、いつの間にか涼太の胸の中にいた。
「名前っちを連れて行くとか行かないとかっ!」
「…あなた、誰ですか?あなたには、用がありませんので」
空色の髪の人は、汚らわしいものを見るような目で涼太を見た。
「さあ、名前様。行きましょう?」
「え、は、い?」
いつの間に移動してたのだろう、紫色の髪の人と青色の髪の人に両腕を掴まれた。
そして、一瞬だった。
目の前にいた涼太が消えた。
目の前が私の家の中ではなくなった。
──────
「名前っち!?」
俺の大切な名前っちが誰かに攫われた。
彼らの格好から見て、どこかの貴族とか金持ちだろう。
どうして、名前っちを攫う!?
しかも、迎えに来たとも言っていたし、名前っちを様付けで呼んでいた。
「ちっ……小さい時から邪魔が入らないように大切にして、俺のそばに置いてきたのに…」
イラついてくる。
名前っちがいないだけでこんなにも自分の感情が抑えきれなくなる。
まあ、名前っちのこととなると感情が抑えきれなくなるんだが。
「……まずは、名前っちがどこに攫われていったかっスね」
ああ、待ってて愛しの名前っち。
俺の大切な大切な、名前っち。
=====
←/
→