魔王になっちまった。 | ナノ
置き去りになったココロ

「最大の、魔法だと……!?」


緑間さんが驚きの声を上げた。


「さっきとは桁違いだな。初めて見る魔法だけど?」


「……ええ。私が作った結界魔法です」


青峰さんの問いに答えた。
この結界は私が作った魔法。
結界内にいるものの、時を止める魔法。


「急に戦い始めることは私が許しません」


ぎゅっと無意識に杖を握る。


「……いいよ、俺も手伝ってあげる」


紫原さんが杖を出して私の横に来た。


「魔王になる素質はあるみたいだしね。認めるよ」


私の知らない呪文を唱えた。
そして、風が巻き起こる。
その風は結界内の煙を晴らした。


「……そうだな、一応自分で魔法作れるくれーだし?」


青峰さんも杖を取り出し、隣に来た。


「お前のことなんて初めて見た時から認めてたけどな」


呪文を唱えた。
すると、大量の水が出てきて炎を消す。


「―――俺もとっくに認めているのだよ」


緑間さんもため息をついて呪文を唱え始めた。
そして、地の力で雷を消す。


「ほら、いいぜ」


青峰さんのその言葉に私は頷き、杖を一振りした。
すると、今まであった結界が消え、二人の間に時が流れ始める。


「…………え?」


「名前、様…?」


二人の驚いた顔が私を見つめる。


「いらない戦闘はいりません。これからは勝手に戦わないでください!」


「――――魔王様の、仰せのままに」


テツヤさんはその場で跪いた。


「名前っち……」


「ねえ、涼太」


「うん」


「私と一緒にここにいない?」


「え?」


私の言葉にみんなが驚きの声を上げた。


「私、やっぱりずっと一緒だった涼太が隣にいないと不安なの」


「〜っ、名前っちー!!」


ぎゅうっと抱き付いてきた涼太。


「テツヤさん、いいですか?」


「…………名前様のご命令でしたら従います」


「では、命令です」


「……かしこまりました」


テツヤさんは、また跪いた。
=====