魔王になっちまった。 | ナノ
点滴に猛毒を入れて

さあ、選択だ。
答えなんて分かりきった選択だ。


「――――前者、を選びます」


「名前っち!!!」


その答えに、テツヤさんと緑間さんは当たり前だというように、笑った。


「その答えが魔王としての解答なのだよ」


眼鏡をくいっと上げながら言う緑間さん。


「ええ、さすが僕の魔王様です。さて、こいつをどうしましょうかね」


テツヤさんはぎりっと杖に力を込めたのか、涼太が小さくうめいた。


「ここは、どこだと思っているのです?神聖なる魔王城です。選ばれた人のみしか入れない場所なのですよ。庶民が入れるはずありません」


「うるさい、口っスね……」


「……もう一度言っていただけますか?」


「うるさい口だと言ったんスよ」


「はい?死にたいんですか?あなた」


涼太が嘲るように笑った。


「何を笑っているのです?僕は四大貴族の黒子テツヤですよ?」


また、涼太の腹に杖が食い込む。


「っ、――それが?」


その瞬間、雷と炎が衝突した。
轟音を立てる。


「おーおー、テツを怒らせるとは、やるなあいつ」


青峰さんがのうのうと言った。


「ちょ、涼太!?テツヤさん!?」


煙が邪魔して二人が見えない。


「……まさか、雷の属性ですか」


「一応、っスかね」


テツヤさんが小さく舌打ちしたのが聞こえた。


「僕の火とは対等な関係ですね」


ですが、とテツヤさんは続けた。


「純血の僕に勝てますかね」


呪文が聞こえた。
そして、次に爆発音。
また、雷と炎がぶつかる。


「っ、もう、やめてください!!」


二人の攻撃に我慢できなくなり、杖を握る。
そして、呪文を唱える。


「――――っ、何を、唱えているのだよ」


緑間さんが言った。


「私のできる最大の、結界魔法です」


杖を、振る。
そして、テツヤさんと涼太を囲むように見えない結界が作られた。
=====
/