まずは自己紹介から
こんな、素敵な歓迎は初めてだった。
「…すごい」
彼女、名字名前は、ほんとにすごいやつだと思った。
ポケモンにこんなに好かれるなんて。
「ふふ、きっと今日は奇跡が起こりますよ」
「どうしてだい?」
「それは、この街が、ポケモンがあなたたちのことを歓迎してるから 」
さっきから嬉しそうに笑う名前。
「そういえば、あなたたちの名前を知らないですね。教えてくださいますか?」
そういえばそうだった。
僕たちは順に自己紹介をしていく。
「僕は、赤司征十郎」
「僕は、黒子テツヤです」
「俺は、黄瀬涼太っス!で、相棒のピカチュウ!」
「俺は、緑間真太郎なのだよ」
「青峰大輝…」
「俺はー紫原敦」
「赤司くんに黒子くんに黄瀬くんに緑間くんに青峰くんに紫原くんね」
名前は、腕の中にいるシェイミに覚えた?と聞く。
「シェイミも覚えたらしいから、行きますか」
「…敬語じゃなくてもいいよ」
僕がそう言うと彼女は、一瞬驚いた顔をしたがすぐに嬉しそうに頷いた。
「うん、分かった。私にも敬語とかいらないから」
「名前、」
「ん?何、シェイミ」
名前の服を引っ張るシェイミ。
「上でしゅっ!」
シェイミの興奮気味の声に上を向く。
そこには、素晴らしい光景が広がっていた。
「あ、みんな、来てくれたんだ」
にっこりと笑う名前。
この街、いや、この少女は、やはりすごい。
「っ、レックウザやホウオウにルギア、ファイヤー、フリーザー、サンダーにディアルガ、パルキア、ギラティナっスよ!!」
かの伝説ポケモンたちが上空を飛んでいるのだ。
「ふふ、奇跡が起こったね」
そう、ここは奇跡が起こる街、キセキシティ。
そして、目の前にいるのは『キセキの少女』。
奇跡が起こらないはずがないのだ。
「すごい、です…」
テツヤが今までにないくらい輝いた目をして見上げている。
「みんな歓迎してくれてるね」
名前のもとに下りてきたポケモンたち。
みんな名前に甘えている。
その光景がなんとも不思議で。
それでいて異様で。
神秘的だった。
「ふふ、来てくれてありがとう」
嬉しそうに伝説ポケモンたちと戯れる名前を見て、こちらも嬉しくなった。
このときはまだ、あんなことが起こるなんて思いもしていなかった。