「やあ、君たちのお探しのものはこれかい?」
制服を着た少年の赤い髪と対称的な青い鳥が、少年の手に乗っていた。
「なっ……」
和成が声をあげた。
かなり焦っている顔をしている。
「和成、どうしたの?」
「やばい、学園だ」
「え?」
「あいつが着ている制服、学園のなんだよ!!」
和成は、私の手を取り走り出す。
「ちょ、和成!?」
「逃げるぞ!!ここで捕まっちゃ意味がねえ!」
赤髪の彼に背を向け走り出す。
道なき道を進んでいく。
「――――馬鹿、なのかな。彼は」
少年の手に乗っていた鳥が空へと羽ばたく。
鳥が見えなくなるまで、見続けたあと、彼はゆっくりと歩き出した。
「校長もお怒りなんだ。強行手段を使うしかないか」
そして、彼の姿は見えなくなった。
――――――
「和成!どこまで行くの!?」
どれくらい走り続けているだろう。
息が苦しい。
「遠くだよ、遠く!」
「かずなっあっ――!」
「名前!?」
小さな石につまずいた。
膝からは血が流れている。
「和成……」
「ごめん、名前」
「和成」
「俺、お前とずっと一緒にいたいんだ。だから、逃げているんだよ」
和成は優しく私の涙をぬぐう。
「ごめん。お前を怪我させて。だけど、俺は……」
「――――お別れは、済んだかな?」
和成の後ろには、赤髪の彼がいた。
「お前、いつの間に……!?」
「僕はね、未来を予知できるんだ」
にこりと笑う彼に、ぞっと鳥肌が立った。
「俺は、行かねえよ」
「……そうも、言ってられないんだ。こっちは我慢の限界なんだよ」
赤髪の彼は、右手をあげ、指を鳴らした。
綺麗な、音だった。
瞬間、私の意識は深い眠りについた。
「――――彼女がどうなってもいいのかい?」
「っ、てめっ!!」
「僕に向かって、歯向かうからだ」
名前は、足のけがを何とも思っていないようにして、赤髪の彼の近くに歩いていく。
「さて、いい餌が入ったな」
まるで、彼に操られているようだった。
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