「名前っちーーーー!!」
「ぐえっ」
朝、教室へ和成と一緒に向かう途中後ろから誰かに抱きつかれた。
声からして分かるんだけどさ。
「やっぱり名前っち大好きっスー!!」
ぐりぐりと頭を擦ってくる涼太。
「はいはい、分かったから離れようか」
「いーやーっス」
小さい子のようにごねる涼太に少し苦笑いしつつ、いつものことかと思いまた教室へと歩き出した。
隣の和成は、いつものようにまた笑ってるし。
「名前もお疲れだなー」
「笑ってないで助けてよ!」
「いやだ」
げらげらと笑う和成にため息をつく。
やっと教室につき、扉を開ける。
「おはよーって、あれ?」
和成が元気よく挨拶をする。
だが、誰一人として返してくれない。
というか、この空気…
「あ、名前さんに高尾くん、そして黄瀬くんもおはようございます」
「黒子っちおはよう。この空気どうしたんスか?」
「ああ、ちょっといろいろありまして…」
その時、ふわりと緑色の髪が揺れた。
「名前!来たのか!?」
「あっれー真ちゃんどったのー?」
和成が焦った顔の緑間くんに声をかけた。
「高尾とつるんでる暇はないのだよ!今は非常事態だ!」
切羽詰まった緑間くんの言葉に和成が目を見開く。
「だから、どうしたんスか?」
「……あいつが、やらかしたのだよ」
「は?」
あいつ?
緑間くんの言うあいつとは、いったい…?
「止めれるのは名前ちんだけだよー」
ひょいっと出てきた敦くんの言葉にまた首をかしげる。
そして、敦くんの指さす方向を見た瞬間、私は目を見開いた。
「――――っ!!!!!美咲!!!翼っ!!!!!!!」
足を駆け出す。
そこには、アリスによって傷つけられた美咲と翼の姿があった。
その二人をかばうようにみんながアリスを駆使していた。
「何、何してるのっ、征十郎くん!!!!!!」
そこに立っているのは、顔に血の付いた赤司くんの姿だった。
前 | 次