想像モンスター | ナノ


君を嫌うなんてありえなかった。
君を置いていくなんてありえなかった。
君をただ、守りたかった。


ーーーーーー


「…落ち着きましたか?」


征十郎くんが去ってどのくらいの時間が経ったのだろうか。
テツ君が私の背中を撫でながら言ってきた。


「名前先輩、和成先輩…」


蜜柑ちゃんも心配そうに覗き込んできた。
みんなに心配かけちゃったね。


「大丈夫だよ。心配しないで」


「名前っち…」


涼太とテツ君は、それでも心配そうな顔をしていて。
やっぱり初等部からの付き合いだからな。


「和成、大丈夫?」


「っああ。ごめんな」


和成は、苦笑いを浮かべて私の頭を撫でた。


「…いつか、話して下さいね。二人のこと」


テツ君の優しさにまた泣きたくなった。


「うん」


「蜜柑たち、ごめんな。こんな情けないところ見せちまって」


「それは、ええけど…」


「あの、赤司征十郎って何者なんですか」


「蛍っ…」


蛍ちゃん、スバりと聞くのね。


「あー…あいつは、ねー…」


「征十郎くんは、危険能力系なんだけど…」


「っ、棗と」


流架くんが反応した。


「日向くんと同じね。その危力系でも彼は異質なの」


「…異質?」


「うん。彼はー…」


ーーーーーー


「…あれ、征十郎」


「こんにちは、初等部校長」


「それで、何用かな?」


「ちょっと、相談がありまして…」


「相談?」


「ええ。無効化のアリスの佐倉蜜柑について…」


にやりと笑う赤司の姿があった。