『約束しようか、名前』
『なに?和成ー』
あれは、綺麗な星空の下の約束だった。
‐‐‐‐‐‐‐‐
「名前、先輩」
「心配しないで蜜柑ちゃん」
「だって、先輩、苦しそうな顔なんやもん」
そうか、私、苦しそうな顔してるのか。
「…ねえ、みんな忘れてるようだけど、名前は僕のだよ」
「っ、」
「身体も声も血も涙も髪の毛1本も、そしてアリスまで僕のだよ。そういう『印』を君につけただろう?」
ドクン
そうだ。
私には、征十郎くんから離れられない『印』がある。
ドクン
ドクン
「馬鹿な名前。そんな名前が苦しいほど愛おしいよ」
「…征、十郎くん」
「じゃあ、僕は戻るよ。くれぐれも忘れないでね?」
そう言って、征十郎くんは去っていった。
「名前!!!」
ぎゅうっ
「和成…」
「大丈夫か?ごめんな、ごめんな…」
「…大丈夫だよ」
和成は小さくごめんなを繰り返して言う。
それは何についての謝罪だろうか。
さっきのこと?
それとも過去のあのこと?
もし、過去のことだったら私が悪いのに。
私のせいなのに。
「私こそごめんね、和成」
優しい君が大好きだよ。
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