「名前ちーん」
ぎゅむっ
「…、重いんだけど敦」
今日は土曜日。
朝ごはんを食べようとリビングへと行こうとしたときだった。
「ねーねー、今日はなんのお菓子食べるー?」
「…また、お菓子かい」
一つ下で涼太の双子の弟の敦は、ト○ロと同じくらいでかい。
そして、お菓子が好きでよく私にお菓子を与える。
くそう、敦のせいで最近おなかにお肉が…
「敦のせいで私、太ってるんだけど」
どうしてくれんのさ。
そう言って振り返ると敦は顔をかしげた。
くそう、かわいい。
「太ってもいいよ?俺はどんな名前ちんでも大好きだよ?」
「いや、だめでしょ!?」
「どうして?っていうかもっと太ってよ。そうすれば、世の中の男共は名前ちんを見なくなるでしょ?」
「(…!!やばい、敦のスイッチが入った!!)ちょ、敦!」
敦は私と同じくらいの目線になるようにしゃがむ。
「あーもーほんと、名前ちんを閉じ込めたい。もう誰にも見せたくない」
「敦、」
敦の息がかかるほど近い。
大きな敦の手が私の頬を掴む。
「大丈夫だよ、名前ちん。この家に閉じ込めるだけだから。家族には会わせてあげる。っていうか、みんなもそう思ってるしね」
「やめて、敦」
「ほんと、かわいい。ちっちゃい癖に粋がって、すぐ折れてしまいそうな腕に、壊れてしまいそうな心……」
「離して、敦」
「食べちゃいたいくらい愛してるよ」
敦はそう言って私の首元に噛み付いてきた。
「っ!いった…いっ」
皮膚が切れそうなくらい痛い。
「んっ」
敦の吐息を首元で感じる。
すごく痛いと思ったら、とうとう皮膚が切れて血が出ていた。
「あ、つしっ!!いっ」
「んんっ。名前ちんの血、おいしいね」
敦が血を舐めるたびに痛みが走る。
「なんで、こんなにも甘いのかな?」
「そんなん、私が知るはずないじゃん」
「…名前ちんも味わえばいいんだよ」
敦は、私の血が口元についたまま唇を重ねてきた。
「んんっ」
「ああ、名前ちんはどこも甘いね」
「……気持ち悪い」
「何が?」
「私たちは兄妹だよ!?なんでっ…んんっ」
敦は、私の言葉を遮るようにキスをした。
「そんなこと、俺たちが一番知りたいよ」
そう言って、また唇を重ねてきた。
‐‐‐‐‐‐‐‐
エニシダ…恋の苦しみ