沈黙ガーデン | ナノ
今日、私は命日を迎えるのでしょうか……


「……い、行きたく、ない」


私はただいま、征十郎くんの部屋の前にいます。
ええ、何故かというと今日の夕飯の時に呼び出されたからです。


「――いつまで、僕の部屋の前にいるんだい?」


「!?!?!?!?!?」


背後から部屋にいるであろう人物の声がした。
振り向くと、そこにはにこやかに笑う我が家の長男様がいらしゃった。


「待ってたよ、ほら早くお入り」


征十郎くんにドアを開けられ、無意識に唾を飲み込んでから部屋へと足を踏みいれた。


ガチャリ


扉が閉まる音。
そして、鍵を閉めた音が聞こえた。
え、鍵……?


「征十郎、くん……?」


ドサリ、と征十郎くんのベッドの上に組み敷かれた。
ふわりと、征十郎くんの匂いがする。


「え?な、に」


「僕は名前が大好きだよ」


「わ、私も大好きだよ?」


「――そう、だね」


征十郎くんのオッドアイの瞳が怖い。
何でも見透かしてそうな瞳で。
それでいて、熱を孕んでいる。


「でもね、名前」


顔が近づき、耳に吐息が当たる。
それがくすぐったい。


「僕はそれだけじゃ、満足できないんだよ」


「え――――んむっ」


瞬間、唇を塞がれる。
多少、強引なキス。


「ん、はあっ、名前」


「せい、じゅうろう、くん!」


掴まれた手首に力を込められる。
うっ血しそうだ。


「名前、愛してるよ。何よりも。この部屋に閉じ込めたいくらいに」


「や、めっ」


「この細い首に首輪でもつけようか。僕から逃げれないように」


征十郎くんの手が首に回る。
今にも首を絞めそうな勢いだ。


「ひっ」


「僕を怖がるな、名前。僕を、拒むな」


縦に首を振ることで精いっぱいだ。


「足には鎖をつけて、この部屋から逃げないようにしよう」


「征十郎くんっ」


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
征十郎くんが、怖い。


「ああ、名前。僕はそんな瞳で見つめてくる名前が、一番大好きだよ」


歪に笑う征十郎くん。
私はいったいどんな瞳をしていたのだろうか。


――――――
ハナビシソウ…私を拒まないでください
thanks,そらら様