それはそれは、私が小学校1年生の時のお話。
「名前は俺のほうがいいって言ってんだよ!」
「はあ?僕のほうがいいに決まってるだろ」
事の発端は、1時間前。
私と大輝と征十郎くん以外はみんなお出かけをしており私たちだけでお留守番。
それでお昼寝をしようということになったのですが、どちらと一緒に寝るかということで征十郎くんと大輝がもめているのです。
「……二人ともさ、落ち着こう?」
「名前…」
「名前…」
二人は私の目の前に寄ってきた。
「僕/俺のほうがいいよね/な!?」
「あははー…どっちでもいいかな、なーんてだめだよねー」
どっちでもいいなんて答えは、目の前の二人の顔を見ればそんな答えを言えるはずもない。
「おい、征十郎!お前、譲れよ!ここは弟の方が優先だろ!?」
「何言ってんだい、大輝。兄である僕の方が優先すべきだよ」
また始まる二人の口喧嘩。
私は、早く兄弟が帰ってこないかなと願った。
「征十郎くん!大輝!」
大きな声をあげた私に、二人は口喧嘩を止めた。
「喧嘩は、だめ!二人とも仲良くしないと、もう一生口きかないからね!」
私のその言葉に二人はしゅんとなる。
「ご、ごめんな名前」
大輝がしゃがんで、私と同じ目線になり謝ってきた。
今にも泣きだしそうだ。
「大輝、もう喧嘩しない?」
「ああ、しないぜ」
「ならいいよ!」
私は、大輝にぎゅーっと抱き付く。
すると、恐る恐る腕を回されぎゅーっとしてくれた。
そしたら、征十郎くんが寄ってきた。
「名前、ごめんね。もう喧嘩しないから口きかないなんて言わないでくれ」
「…約束守ってくれるなら」
「守るよ。名前と口がきけなくなるなんて考えたくもないよ」
私は大輝から離れ、征十郎くんに抱き付いた。
それから私たちは3人でくっついてお昼寝をした。
帰ってきた兄弟たちが泣きながら起こしに来るまでのほんの少しの幸せな時間。
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クリスマスローズ…懐かしの思い出
thanks,赤司あいらびゅー様