「おい、敦」
教室でお菓子を食べていると前の席の…名前忘れちゃった、確か伊藤だった気がする…伊藤ちんが話しかけてきた。
「なにー伊藤ちーん」
「俺の苗字は、佐藤だよ!」
「あら?そうなの?ごめんごめん伊藤ちん」
「敦、聞いてないだろ…もう、それでいいよ」
「うそうそ。それで?俺に何か用?佐藤ちん」
いじるの楽しいなー。
「俺泣く!!あ、それでさーお前の姉ちゃんさー」
佐藤ちんの口から名前ちんのことが出た。
その瞬間から俺は、佐藤ちんの話を真面目に聞くことにした。
「…名前ちんがなに?」
「いや、俺の友達がお前の姉ちゃんに一目惚れしたらしくてよ」
ポキン…
「ちょ、敦!?」
俺は、今食べていたポッ○ーを力任せに折ってしまった。
しょうがない。
これは、必然的な行動だ。
「え、名前ちんに一目惚れ…?」
「そうそう!この前、道端で荷物落としたときに手伝ってもらったんだってよ」
そう言いながら笑う佐藤ちん。
笑えねーよ。
名前ちんに一目惚れしたとか、何それ死にたいの?
「ふーん…そいつ、この学校?」
「そうだぜ、となりのクラス!お前の兄の涼太と同じクラス!」
ふーん。
涼太ちんと同じクラスかー。
あとで涼太ちんに報告報告。
「って、なんか敦、怖いんだけど」
「だって、名前ちんに一目惚れとかムカつくしー」
「お前ら双子、シスコンだしなー!」
シスコンじゃねーよ。
本気で好きなだけだし。
愛してるだけだし。
なんて思うけど、口に出すと面倒だから言わなーい。
「シスコンで悪い?だって名前ちんかわいいしー」
「すっごいシスコンだなー。将来姉離れできんのかよ」
「さーね」
姉離れ?
するはずねーし。
したくもない。
佐藤ちんも馬鹿だなー。
俺が名前ちんから離れるはず無いじゃん。
あ、それよりも早くこの事実を涼太ちんに伝えに行かなきゃだしー。
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タムラソウ…あなただけ