「ねえ、名前。どうして拒むんだい?」
お風呂上りに征十郎くんの部屋に呼び出され、すぐに言われた一言。
私は、頭に?を浮かべるしかない。
「…?え、と何が?」
「だから、僕らの愛だよ」
「そ、それは…」
オッドアイの瞳に見つめられ、私は怯んでしまった。
征十郎くんの瞳は怖い。
「ねえ、名前。なんで僕らが実の妹のお前に好意を抱いているか知ってる?」
「私が知るはずないでしょ!?」
「…まあ、そうか」
すると、征十郎くんは椅子から立ち上がり、私のほうへと寄ってきた。
そのまま私の両手を掴み壁に押し付けられる。
「っ、ちょっ!?征十郎くん!?」
「名前」
いつもより低い声に思わず身体が反応した。
征十郎くんとの距離が近い。
「ねえ、知ってる?全部全部、お前のせいなんだよ」
吐き捨てるように言う征十郎くん。
そして、あろうことか私の唇へと噛み付いてきた。
「んぐっ!?」
「ほんと、嫌だ。名前って」
「征十郎くん?」
「どうして、こんなにも僕の心を捕らえるんだよっ」
「どうしてって…」
「もう、黙れ」
また、私の唇へと噛み付いてきた。
角度を変えて深くなる口付け。
征十郎くんのこんな激情をはじめて知った。
「ん、せい、じゅうろう、くん…」
「名前…」
互いを熱くなった吐息で呼ぶ。
征十郎くんの瞳からそらせられない。
「んっ、んはあ、はあ…」
やっとの思いで唇が離れた。
そうして征十郎くんは、言った。
「お前なんて、世界で一番憎くて愛しい存在だよ」
どうしようもない、熱のこもった声で、瞳で言われた。
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ジギタリス…熱い胸の想い