notebook2 | ナノ

隣り合っては死に至る



※死ネタ・ちょっといやかなり危険



やっぱり、私には無理だったのだ。


「――はい、おーしまい」


カチカチと時計が時間を刻む音しか聞こえない。
あとあるものは、ベッドにテーブル。
そして、ナイフだ。
それは、私を殺すためのナイフ。
私を血で染めるためのナイフ。
彼はそれをわざと見せつけるかのように舌先で舐めた。


「さて、どうするんスか?このままだと名前っち死んじゃうよ?」


「どうするもなにも、どうにもできないでしょう」


「あはは、その通りっス」


彼――ただの隣の席の人物である黄瀬涼太は、ナイフをちらつかせながら私の目の前に来る。
そして、ナイフを首に近づけた。
ごくり、と唾を飲み込む。


「ねえ、一つ聞きたいことがあるの」


「なんスか?」


「私を殺す理由は?」


すると、彼は綺麗な笑顔で笑った。


「――愛しているから、名前」


瞬間、ナイフは私の首元めがけて振り落された。


「愛してるから、殺したんスよ。ねえ、愛してる大好き。もう、俺を助けて欲しくて。ああ、名前っちは死に顔も綺麗っスね。このまま、このままにしたいけど、腐敗が進んでいくし……臭いもしてくるし……やっぱりホルマリン漬け?でもそれじゃ、液体の中に名前っちを一人にしちゃうし……食べるのが無難スかね。ああ、それとも剥製にするとか?でもなあ、生身の名前っちを触りたいし……食べるのがやっぱり、名前っちを一番近くに感じられるスかねえ……ま、とりあえず、当分はこの死体のまま名前っちを愛してあげる」



title by誰花

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