水に溶けたサルビア
※酸欠のゆに様からの頂き物
沈黙ガーデンのテツヤ寄りのお話です!
デートに行きましょう。
そう言って、連れ出されたのがほんの30分前。
今日は今年一の猛暑日だとニュースで言っていたから外には出たくない。
でも、と言葉を濁らせたのだが洋服はすでにテツヤが決めていて、その上キラキラとした眼差しを向けられてしまっては断るのも心苦しい。
仕方なく重い腰をあげ支度をしたのだった。
電車に揺られて着いたのは大きな水族館。
ここに来たがってましたよね、そう微笑んで手を握られた。
確かに言ったがそれはテレビを見てポツリと独り言のように呟いただけであって、記憶するほどのものではなかったはず。
それを覚えてくれていたなんて、テツヤはいい男だと改めて実感し、さっきまで乗り気じゃなかった自分が嘘のようにテンションがぐんとあがった。
「涼しいねー。テツヤ、ペンギン見たい!」
「順番に回りましょう」
「うん!」
大きな水槽を2人でじっくり見ながら水族館を回る。
平日ですいているため他のお客さんが少なくて、余計にはしゃいでしまう。
そろそろペンギンコーナーだね、なんて話をしていればどんぴしゃでペンギンたちが壁の向こうに姿を現した。
わたしの気分は最高潮で、ペンギンに駆け寄った。
「テツヤ、ペンギン!早く早く!」
「走っちゃだめですよ」
「でも、…っ!」
「名前!」
足に痛みが走りその場にしゃがみこむ。
慣れない高めのサンダルを履いたせいか、足は真っ赤になっていた。
テツヤはそれを見てすみませんと何度も頭を下げた。
洋服同様、靴もテツヤが決めていてくれたのだ、きっと責任を感じているのだろう。
けれどこれははしゃぎすぎたわたしの責任なのだから、彼は何も悪くない。
大丈夫だから頭をあげて、下がったままの頭を撫でれば目尻にはわずかに涙が溜まっていた。
「でも、」
「いいの。楽しいからわたしはなーんにも気にしない!それにテツヤがコーディネートしてくれてなかったら出掛けなかったしね。むしろ感謝してるよ」
「名前…大好きです!」
「テツ…っ!」
抱きつかれたかと思えばキスもされてしまった。幸いなことに暗がりに移動していたため、お客さんに気づかれることはないが、触れるだけのそれは長く続いた。
わたしたちは兄弟なのに、キスをするなんておかしい。
けれど暗闇のせいか、それともいつもよりかっこよく見えるテツヤのせいかわからないが、今くらいなんて許してしまうわたしはどうしようもない愚か者なのだろうか。
離れていくテツヤに胸が締め付けられたのは、わたしだけの秘密。
――――――
相互さんの酸欠のゆに様からのお祝い小説…!!
嬉しい!!
ありがとうございます!!
テツヤがかわええ!!
ゆにさんの書くテツヤが天使すぎた
イケメンだよ!(笑)
ほんとにありがとうございます!!
ちなみに、サルビアの花言葉は家族愛だそうです。
花言葉まで、嬉しい…!!
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