櫻籠り哀歌

毒に魘されるかと思った

「ただいまー」


ガラガラと家のでかい扉を開ける。
昔ながらの家だから庭も家も全てが大きい。


「おかえりなさいませ、名前お嬢様」


「あ、今吉さん。ただいま」


そこには、お手伝いさんというか執事的存在の今吉さんがいた。


「あれ?涼太坊ちゃんはどうしたんや?」


「なんか、不思議な5人組みに会って…それで、私だけ移動術で帰ってきたんです」


「…へー、不思議な5人組み」


そこに、着物姿の辰也くんがいた。


「あ、辰也くん!ただいま戻りました」


「辰也様」


「今吉もいたんだね。お帰り、名前」


辰也くんは、着物姿が似合う。
自慢の私の兄だ。


「それでその5人組み…」


「すごいんだよ、私の名前知ってたり、姫様って呼んだり、涼太のこと刀で斬ろうとしたんだよ」


すると、辰也くんは、目を見開いて驚いた。
今吉さんは、私のかばんやら上着を持つ。


「…へー。それで名前だけ帰ってきたんだね」


「そうなの!そういえば、お父様やお母様は?おばあ様もおじい様も見えないけど」


「ああ。お母様とお父様は、木吉家に行ったよ。おじい様とおばあ様は、裏の屋敷にいるよ」


「木吉家?誰か亡くなったの?」


「さあ?ほら、名前。部屋に行って着替えな。いつまでも制服でいたらダメだよ」


「はーい」


私は、辰也くんと今吉さんにお辞儀して部屋へと向かった。


「ねえ、今吉」


「はい、なんや?辰也様」


「名前のことよく見といて。また、従者達に邪魔されたくないからね」


「了解や。このこと花宮には伝えてもええんやろうか」


「いや、いいよ。あいつは、俺のじゃないからね」


「分かりました」


そんなことが話されてるとは知らなかった。