櫻籠り哀歌

疑問ばかりが募って

存在意義をなくした僕たちには何が残る?


「ほら、言っただろう?赤司征十郎」


姫様の隣にいる群青色のに瞳を持った男が笑いながら言った。


「名前は、君たちを選ばないって」


「ーっ!ふっざけんな!」


でも、確かにその通りだったがそんなの認めたくない。
認めたくない。


「姫様!姫様はこいつらに惑わされてるだけだよ!」


なんで、どうして。
あなたがいなきゃ僕らは意味を成さないのに。
あなたがいなきゃ僕らは生きてなんかいないのに。


「…もう、私はあんな思いをしたくないです」


ねえ、いったい何を言っているの?
僕をなんでこんなに困らすの?
ねえ、なんで。


「…赤司っち」


「涼太、」


「壊すよ、俺は。あんたたち従者と名前の絆を」


涼太の瞳が、強いきらめきを持っている。
さっきとは大違いだ。
ほんと、いやだなあ。
昔からだけど、やっぱり。


「ほんと、涼太ってムカつくね」


「どーも」


でも、このなんとも言えない感情は止まらない。
もう、このまま壊してしまおうか。
全て殺して壊そうか。


「姫様、君は僕らを否定するんだね」


「…え?」


「あはは。分からない顔だね!だってあなたの血と僕らの血で交された絆だ。絆を否定するってことは僕らを否定するって事と同じだ」


否定なんて嫌だ。
肯定されたい。
必要とされたい。


「僕らには姫様が必要なんだ」


そう、それだけ。
僕らの隣には姫様がいないとだめなんだ。


「…ほら、見て姫様」


月と太陽が見えるよ。


「赤司、さん…」


いっそのこと、君なんていなかったら良かったのに。
そうすればこんな思いもしなくて良かったのに。


「…あはは、もう、いいよ」


ぎゅうっと刀を持つ手に力をこめる。
ああ、姫様からもらった刀が泣いているよ。


「…!!赤司、征十郎っまさか…!!」


刀から炎が出る。
この炎も何故か愛しく思える。
姫様から授かった能力だからかな?


「姫様…」


でももう僕は、君を狂おしいほど愛していて…


「もう、止められないんだよ」


この思いも、これからも何もかも。