陽「眠らなかった時間と、眠れなかった時間の二種類があるね」

正「あ、ほんとだ」

ア「私は毎日、よく眠るようにしています。心身共に健康でいるために。眠れなかったこともありませんね」

陽「俺もそうだ。眠いのを我慢して時間を作るより、きちんと眠って時間効率を上げた方が賢明だからね」

琳「さすが、出来る男共はちゃうな！　俺みたいな一般人は、いっぱい寝たかて上手いこといかんことが多いんや」

ア「それは琳が不器用だからです」

琳「言われんでもわかってるわ！　……ちなみに覚えてる限りやと、入試の前々日は徹夜した。前日はようけ寝ときたかったから、その日の勉強もしたんや」

陽「よく風邪引かなかったね」

ア「あぁ、聞いたことがあります。“馬鹿は風邪を引かない”と」

琳「喧嘩売ってるんか！」

陽「はいはい終了。もう、すぐ喧嘩になるなぁ。正太郎は眠れなかった日ってある？」

正「えと……わかんない」

琳「なんや？　遠足とか修学旅行の前日があるんちゃうか？」

正「あ、そっか！　修学旅行の前日は全然寝てないや！」

琳「ほら見てみ」

正「四時間ぐらいしか寝られなかったんだ」

琳「ほな二十時間ってとこか？」

陽「ふふふ。楽しみで眠れないなんて平和だね、アル。……っと、どうしたの」

ア「陽平……。私は、正太郎と修学旅行に行っていないのだ……」

陽「そういえば、二年生の七月に修学旅行だったんだっけ。俺たちが大学を卒業した頃だね」

ア「………………」

陽「ま、まぁ元気出しなよ。夏休み辺り、また別荘へ行けるようにスケジュールを組むから」

ア「ああ……頼む」


　了