番外編 クリ★プレ ■しおりを挿む
二時間ほど掛かって、クリスマスケーキが漸く完成した。
これで、やっとイチゴが食べられる……!
と思ったら、長谷川が意味不明なことを言いだした。
「ねぇ裕斗っ。今から、僕たちとクリームプレイしない?」
──クリームプレイ。
初めて聞く言葉に、俺は内心で首を傾げた。
クリームと聞いて一番に浮かんだのは、さっきまでケーキ作りで大活躍していた生クリーム。
買ってきた二パックを全部泡立てたから、結構たくさん余っている。
クリームはそれでほぼ間違いなしだろう。
でも……それで一体、なにをするんだ?
皆目見当がつかなくて、俺は助けを求めるように藤枝を見遣った。
けれど、藤枝はクローゼットで何やら探し物をしているらしく、顔を見ることすら叶わない。
というわけでしかたなく一人で思い悩んでいると、長谷川がクスクスと笑いだした。
「可愛い裕斗っ。クリームプレイがわかんないんだね?」
「むぅ」
……すごく悔しい。
とは言え、俺が“クリームプレイ”を知らないのは事実だ。
それに、これ以上考えてもわかりそうにない。
意地を張ったぶん、時間が無駄に過ぎていくだけなんだよな。
あぁもう、しかたないか……。
俺は、潔く負けを認めることにした。
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