理想的なカップルの裏事情 ■しおりを挿む
そしてこの二人は入学早々、お付き合いしていると公言したらしい!
にも関わらず、超イケメンと超美少年の理想的なカップルだ!と、ファンは離れるどころか余計に騒いだとか…。
そんな二人が取り巻きに囲まれてお喋りしているところを邪魔するように、俺がこの教室にやって来たわけだ。
目的は“噂の二人☆密接インタビュー”という記事のため。
企画書によると、噂の理想的なカップルの馴れ初めから日常までを暴くのが目的…らしい。
目立つ二人のことはみんなが興味津々だから…という理由って、正直どうなんだろう。
記事を任された俺自身に、興味がないんですが。
ちなみに俺は中等部時代、男には一度もときめいたことなんかなかった。
それに幸か不幸か平凡すぎて目立たない生徒だから、言い寄られたことも皆無で毒されていない少数派。
だけど、これだけオーラがすごくて、常に誰かが傍にいる人に近付くのは緊張する。
「いじめてねぇよ」
「葵の言い方が怖い」
「…あっそう」
「ふんっ」
俺が原因(?)でケンカをおっ始めた二人に、謝りたいのに口がカラカラで舌が動かない。
「もしかしてキミ、喉が渇いてるの?」
長谷川がトコトコと可愛い歩き方で、口をパクパクさせている俺に近付いてきた。
どうしよう、イケメンと美少年と俺で“三すくみ”の図みたいになってる。
大丈夫です、と言いたいけれど口がカラカラで以下略。
「あはっ、かわいー。僕の飲みかけでよかったら、どうぞ?」
可愛いのは君だろう、長谷川。
というか、ペットボトルを受け取ってしまったんだけれど…。
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